Doll And Dolor
□Cuatro-Sangre
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あの後、歩は真っ直ぐ十番隊へ向かった。それ自体は珍しいことではない。実際歩は半田に会いによく十番隊へ足を運んでいる。
珍しいのは、歩が半田の隣を通りすぎたことだ。
「歩?」
半田が呼んでも返事もしない。なーんだあれ、と肩を竦めながら踵を返すと、丁度乱菊と目が合った。
「……どしたのかしらね。歩ちゃん」
「さあ……。あの方向、貴賓室っすかねぇ?」
「歩ちゃんに限ってそれはないんじゃないかしら。でも、だからって執務室に用事とかってのも……」
あ、と乱菊が唐突に言葉を止めた。
そして半田も大方予想はついていたのだろう。あちゃー、と額に手を置いた。
「ありゃバレましたね、確実に」
「だからって、普通隊長に殴り込みに行く?」
半ば呆れを含みつつ、乱菊と半田はやれやれと嘆息した。
そして二人の予想を裏切らず、歩はやはり執務室の扉を開ける。