Doll And Dolor
□Seise-Peine
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「……誰だ?」
唯一置いてある椅子に腰掛けた、白と黒のコントラスト。
かつての姿からは想像もつかないほどに痩せ弱り、しかしぞっとするほどに気丈なその容姿。
ガコン、と扉を閉める音でさえ、染みになって消えてしまう。
しかし彼女──ルキアが発した声のみが、余韻の糸を引きながら空を漂った。
ゆっくりとした動作で、黒い頭がこちらを向く。
その、吸い込まれそうな漆黒の瞳が二人を捕えたと同時、ルキアも少し安心したようだった。
「……ああ、歩と半田殿か。久しぶりだな、二人とも」
「ええ。……まさかこんな再会になるなんて思わなかったけど」
刺々しい歩の言葉にも動じず、そうだな、とルキアは目を伏せた。
もしかしたらルキアは、自分たちよりも色んなことを、すでに知っていたのかもしれない。
半田はそう思いながら、歩の三歩後ろで立ち止まった。