Futuro

□Uno-Acontecimiento
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C・E96年。

メサイヤ大戦を経た現代は、戦前とは比べ物にならないくらいの発展を遂げた。

まずラクス・クラインが議長になってからというもの、コーディネーターとナチュラル間の溝は着々と埋められつつあった。

かつて二度の大戦で互いに戦ったザフトと連合は不可侵条約を締結し、今では互いに助け合う仲にまで深まった。

更に地球・プラント間に交流生として学生を派遣したり、理解を深めることを目的とした施設も建設されたりと、コーディネーターとナチュラルの接触に随分積極的になってきた。

また大人たちが「戦争を知らない」子供たちへ、戦中の話をする機会を増やしたりするなど、二度の大戦を消さない努力も見えている。

そんな、時代が動きつつあるC・E77年、コーディネーターにとっての革命が起きた。

それが、「無卵生児」と「無精生児」である。

それは生きた精子及び卵子さえ持っていれば子供が作れるという、つまりのちにプラントやコーディネーターの根っこにあった婚姻制度の必要を問う革命とも言えた。

だがしかし、この革新に誰もが賛同したわけではない。

寧ろ大戦の英雄であるラクス・クラインやキラ・ヤマト、オーブ側のアスラン・ザラにカガリ・ユラ・アスハまでもが反対していたというのだから、本来ならば廃止されても可笑しくはなかった。

しかしC・E77年の秋、ビジネスとしては初めての「無精生児」の誕生以来、反対の声は徐々に薄らいでいった。

それは、コーディネーターとナチュラルの仲の発展と同じ、「無精生児も無卵生児も同じコーディネーター」という思想が根っこにあったおかげ以外の何者でもない。

それから無卵生児や無精生児はビジネス界において大いなる成長を遂げ、C・E96年現在では乳児の五割が無卵生児及び無精生児という割合にもなっていた。





C・E96年、夏。

プラント屈指の劇団「エチューディズム」によるミュージカル──二回目の大戦をモデルにした劇が、開演しようとした時期である。
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