Futuro

□Cuatro-Pelea
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アルコがシンたちに拉致されたのを見送ってから、アスランは小型の端末を取り出した。

慣れた手つきで入力するのは、アスランの最愛の妻、カガリの端末番号である。

その数桁を入力し終え端末専用のイヤホンを耳に装着するが、聞こえてくるのは耳障りなノイズ音のみ。聞きたい声は、どれだけ耳をすましても聞き取れなかった。

「……やっぱり駄目か」

端末を切り、しまう。

何となく解ってはいたが、どうやらここからでは向こうへ連絡が取れないのだろう。やはりここが別の、独立した世界だからなのかどうなのか。これだけでは判断がつかない。

ただ、カガリはどうやらここの世界には来ていないようだ。それを確認できただけでも大きな収穫だ、と自分に言い聞かせる。

(しかし……もしここに来ているのが俺とサルトだけなら、それもそれで不安だがな……)

ふと上を仰ぎながら、アスランは嘆息した。

ただでさえアスランや──まして一番素性の知れないアルコなんて、警戒されて当然だ。つまり不審な行動を起こせば即刻銃殺──まではいかなくても、それなりの罰は受けるだろう。
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