銀魂book

□note.00
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「不起訴処分たァどーいう料簡だコラ」
「だって証拠が足りないから」




note.




天人が来て良かったと思えることがある。

あまり多くはないけれど。

以前は、罪人なんてとっ捕まったら、裁かれるだけだった。

銭形さんや、大岡さん、水戸翁はかつて多くの逮捕劇を生んだことで、今だに名を語られる。

しょっぴかれて、おしまい。

でも今はそうはいかない。

警察が容疑者を捕まえたって、検察が起訴するに値するかじっくり調べるし、被告には弁護士がつく。

より確実に、平和を、正義を守れるようになった。

天人が来て良かったと思う。

裏腹に、こういった愚かな輩も乗り込んでくるようになったが。

「俺らが見つけた証拠じゃ認めねーってことか」

言いながらいらいらとポケットに手を向かわせた相手を見遣って正論を述べる。

「違いますー。碌でもない証拠ばっかりなんですー。あ、土方、ここ灰皿ないからね」
「違わねーじゃねぇか!残念だったなァ、携帯灰皿携帯してんだよ、喫煙者のたしなみだろォが」
「歩きタバコする人間が言うんじゃない。っていうか携帯するから携帯灰皿なんでしょ」
「世の中にはケイタイを持ち歩かない奴だっていンだよ」
「あ、それあたし」
「人のこと言えた義理かァァァァ!」
「うるさいな、木偶の坊が」
「黙れダメ検事、って、何しやがる」

ばっさり、と分厚い紙の束をちょっと整った顔に投げ付けてやった。
残念ながら顔に当たる前に素早くその手で奪われてしまったが。

「それでも読めば?」
「何の真似だ」
「調書。アンタの言う『証拠』ってヤツがどれだけ取るに足りないものなのか、って」

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