銀魂book

□note.02
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「これは譲れませんよ!たとえ真選組が犯罪紛いをしているとしても、このラケットだけは!」
「……君は、アホなの?」



note.3



電話が鳴り止まない。

「抜いちゃおっか」
「電話線!?駄目駄目!何言ってるんですかっ!」
「だってさーぁ、あーはい、検察でーす。……いや、そういうのは電話の前にきちんと書類にしてもらわないとー」

ひどい。
あまりにも、ひどい。

これだけ毎日忙しくては、あれからどれだけ経ったのか、なんてわからないが。
おそらく3日。

あたしが真選組扱い事件専属検事となってからそれだけの日数が経った。
その間に、どこで公表されたのか知らないが、一般警察・弁護士・他検察庁から電話が鳴りっ放しである。

やはり皆不満を持っていたんじゃないか。
こんなになるまで放っておいたくせに、担当窓口ができた途端にこれだ。

とりあえず、文面に書き起こして送って来い、と片っ端から電話を切る。
念のため、とメモをとることは初日で挫折した。
それでも、そのメモは清書する気を削ぐようにデスクに山積みになっている。

そして、応接用のソファには、その「文面」がうずたかく積まれている。
今地震がきたら、確実にここの床は抜けるだろう。
ソファもせんべい布団になりかけている。

「……高かったのに」
「何か言いました?」
「別に」

事務官は、受話器を置きながら耳聡く、声を拾った。

何でもいいから愚痴りたかっただけだ。
一段落ついたら、新しいソファを買おう。絶対だ。

しかし、こうも電話応対に時間を奪われては、何一つ片付かない。
しかも、どの件を聞いても全く話が飲み込めない。
どうやら真選組が、捜査をして暴れて何かを壊して公私混同して傷害事件を起こしてストーカーとかで訴えられてあれむしろアッチの人?みたいなことになっているということぐらいしか。

「と、いうことはだ」
「何がですか」
「つまり、電話を取れて、尚且つ話のわかるひとがいればいいんだ」
「それにこしたことはないですけどね。でもそんなひと――」

鳴り止んだ一瞬の隙を衝いて、受話器を持ち上げ、番号をプッシュする。

「あーもしもし?検察ですけど。君でいいや、ちょっと今から来て」

いろいろ面倒なので、受話器を下ろすよりも先に、指でポチっと終話した。

「どこかけたんですか」
「すぐ来るでしょ」
「もう、思い立ったらすぐなんだから。相談くらいしてくださいよ」
「はーい」

そして、やはり1時間もしないうちに来た。

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