銀魂book

□note.03
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「弁解の余地を与えてやる、と?」
「お互いの仕事のためには話が必要ってことよ」


note.4(前編)



かっぽん。
かっぽん。

獅子威しが鳴る中庭に面した8畳間。
黒檀のテーブルに並ぶのは、品が良い和菓子。
竹製の楊枝がさらに風流で。

ここは決して、男臭い真選組屯所などではない。



『明後日、屯所に参じます故、どうか御同席くださいますよう』

そう書いた文を退くんに持たせたその夜、鳴り響いた電話を取るなり一方的に取り決められたのだ。





「今日はウチの阿呆が世話ンなったようで」
「いーえぇ。もともと真選組さんが振りまいた迷惑を頂いて仕事をしておりますので。そのことでしたらお気になさらず」
「皮肉も理解できねえ輩にどーこー言われる筋ァねえな」
「あらやだ。あたしったら真選組のブレーンに気付かれてしまうような皮肉を零すなんて」
「恩を恩とも思わねえ無粋を働く奴に割く時間なんかねえ。今日の文はなかったことにしてもらう」
「仕事と私情は別にしていただきたい」
「てめえの口からそんな科白が出るとはな。驚きだ」
「あたしがいつ一緒にしたっていうの」
「まさに今してるじゃねえか。真選組を目の仇にしたような態度しやがって」

ふはー、と電話越しに聞こえる息にこちらも溜息を吐きそうになる。

「タバコ自体に危害はないのに、何でタバコを嫌う人がいると思う?」
「ぁあ?」

ドスを効かせた声とは関わらず、先程とまったく同じように、ふはー、と息を出される。

「本体はただの紙と葉っぱ。タバコに欠かせない煙や臭いが嫌われるの、本体じゃなくてね」
「何が言いたい」
「煙が体を蝕むのよ。せいぜい気をつけることね」
「相変わらず胸クソ悪い女だぜ」
「そんなことを言うために電話してきたの?暇ね」

そうあたしが問えば、盛大に、ふー、と息を吐き出す音が届いた。最後の煙なのだろう。
少しの間をおいて返ってきたのは、答えにならない言葉。

「てめぇ何を企んでやがる」
「企むも何も」
「大方、お上とやらに真選組の内部を調査しろとでも言われたんだろーが」
「内部調査には内部調査だけど。ウチの独自捜査よ」

こちらはと言えば、事務官がようやく案件ごとに分類を終えたファイルを満足気に眺めている。
倉庫から持ち出してきた会議用の長机一杯に広げられたファイル。
保管庫2台を備品申請しておかなければ。

「ハっ。事前に俺に漏らしておいて内部調査か。お粗末なこって」
「内部調査というか。そちらの機構、命令系統、捜査方法などについてね。ぜひ局長・副長様に伺いたいの」
「まるで俺らに問題があるとでも言いたげだな」

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