SHORT

□させて?
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『ん…』







…あれ

此処何処……?





何時も目に映る天井と別の空間に重い瞼を擦り

枕元に置いてある携帯に手を伸ばした時




隣から静かな寝息と

温かな体温が伝わってきた







『な、なっ―――……!!!』





視界に飛び込んできた人を前に

一気に身体が覚醒する






だって

そこに居たのは……









「……おはよ」

『お、おはよう、ございますっ…!』





思わず吃る私を見て彼は





「何敬語使ってんの」





そう言うと私の髪を掬い
それを自分の指に絡ませる




ど、どーしよ…

起きれないんだけど…!





彼に触れられている場所と

自らが持つ体温に再び身体が熱くなってくる




それを悟られたくなくて
彼の瞳から逃れるように腕を動かすと






「ダーメ」

『え、ダメって…わ…!』





軽く髪を引っ張られ

身体ごと彼の方に倒れ込みそうになる





『ご、ごめ…!』





密着しそうになる寸前で

慌てて離れると




彼はもう一度

私の髪に指を巻き付け






「何で離れちゃうの?」






左の中指で私の頬をすーっとなぞり

唇の中心に移動させる





ちょ…!!








「昨日はあーんなに可愛かったのにさ…」





指の腹で器用に唇を縦に開き

目を細めて私を見る彼




其の姿と

床に散らばった衣服を前に思考が固まった





昨日最後に

耳元で囁かれた言葉を思い出し

頭の芯が再び痺れる様な感覚に襲われる









『…カ…カイ……』





やっとの思いで発せた名前

其の主を恐る恐る見詰めると





「はい、何でしょう」

『て、手離して……』

「え、何で?」





わざとなのか素なのか

カイは私の要望に応えてくれそうになくて






『お、起きれないから…』




やっとの思いで言えた私を前に

カイは軽く笑い






「だって、起こすつもりないもん」

『な、何言って……』

「んー…つまり」





悪戯な笑みを浮かべた後

彼は私の身体を反転させて






「こーゆー事」





額に触れるだけのキスを落とし

綺麗な指を鎖骨へ滑らせる











「……もっと感じさせてあげる、俺を…」






吐息混じりに呟かれた其の一言と同時に

彼が私に覆い被さった










「……キスしていい…?」










-end-

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