小説

□乱離骨灰
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【乱離骨灰】
閻魔大王×鬼男


「鬼男君、」
「やっ、あぁ…っひゃうっ」
「鬼男君、鬼男君、」
一度名前を呼んでもオレの上に乗っている可愛い子は何も反応を示さない。狂った様な声をあげ、狂った様に腰を揺らめるだけ。そんな狂ったこの子が、どうしようも無く。口付けたい、抱き締めたい。耳元で囁いたらもっと狂ってくれるだろうか。
そんな念を喉の奥に飲み込み、再び名前を呼んだ。二回呼んだ。今度は反応してくれるだろうか。
「あ…あ……、」
がくんと力無く頭を下げ、甘く喉を鳴らすだけ。相変わらず息が荒い。褐色の肌から流れる大きな汗の雫が時折床に溢れる。
ああ駄目だこりゃ。完全に意識無くしちゃってる。
「うっそぉ、もう乱離ってんの?」
まだ三回目なんですけど。若いから体力はあるけど精神力は無いね。ていうか、男にこんだけ喘がされちゃう鬼ってどーよ。
オレの言葉には呆れと嘲りの感情が込められてる。多分今の鬼男君には聞こえて無い。ただひたすらオレの上でオレのモノを下のお口でがっつり啣えながら前後に腰を揺らしてる。
ねぇ、何回イけば気が済むの?オレまだ三回しかイッて無いんだけど。多分オレの二倍はイッてるよね。淫乱で絶倫なのは結構だけど、度が過ぎると引いちゃうよ。本当に。
オレは筋肉が引き締まった鬼男君の太股を荒々しく掴んで無理矢理開脚させた。少し爪も立ててやる。すると鬼男君の肩が一瞬痙攣した。あはは、淫乱。
「鬼男君ばっか気持ち良い何て駄目だよ。オレの事も気持ち良くさせてよ。」
そう謂ってオレは鬼男君の前立腺の辺りを突いてやった。辺り、だから明確には突けていないかも知れない。どうだろう。卑猥な水音が鼓膜を濡らす。
「あっ、ああぁっ」
鬼男君は八重歯が見えるくらいまで大きく口を開け裏返った声をあげ絶頂した。どうやらオレはバッチリ前立腺を突いたらしい。オレ天才かも。
オレが思い切り足を開かせたお陰で鬼男のやらしー場所が丸見え。今先端から精液が噴射された所。白濁とは呼べない程精液は透明に近い。粘り気も全く無い。もう何回も射精されてるせいで濃度が薄くなっているんだ。ていうか、毎晩ヤッてるから元から御互い濃度は高く無いんだけど。
オレは鬼男君に顔を近付かせ囁いた。
「せめてオレのを舐めてくれるとかしてくんないの?閻魔大王の秘書でしょ。」
鬼男君は何も答えない。頷きもしない。紅血の眸はすっかり潤んでいて、目の前のオレの顔すらまともに映しやしない。ただ、射精後の疲労に囚われずまた次の快楽を求め腰を揺らす。金色の髪は汗に浸され、べっとりと鬼男君の顔に貼り付いたまま。
「…んっとに、」
余りにも滑稽で嗤いたくなった。くすっと軽く鼻で嗤う。
「秘書が無能だと困るよ。」
無能なのはこういう性的な事だけだけど。上司の事何かお構い無しで自分の性欲と快楽を最優先にして。無礼にも程が有るよねぇ。
「ねぇ、鬼男君って何でそんなに淫乱なの?」
鬼男君の双眸をじっと見詰めていたら漸く視線が噛み合った。すると鬼男君はやっと言葉らしい言葉を発する。息は相変わらず荒いけど。
「…っちが…」
「違くないでしょ。」
違うって謂いたいんでしょ。キミは本当に反応が短絡的なんだから。すかさずオレは言葉を遮ってやった。
「ちょっと嬲られただけで意識とばしちゃってさ。」
更に閻魔大王様お得意の言葉責めを喰らわせる。鬼男君は恥ずかしそうに瞼をきつく閉じる。耳まで真っ赤だ。まだまだ行くよ。
「他の鬼達にこんなやらしい鬼男君見せてあげたいなぁ。きっと蟻が集るかの如く寄ってくると思うよ。
そしたら鬼男君、人間としての自我が壊れちゃうまで犯されちゃうね。」
敢えてこの時は何もしなかった。腰も揺らさせはしなかった。この子が言葉だけでどれ位感じてくれるのか試したかったから。ただ淡々と責めいさなむ言葉を浴びせた。鬼男君の顔が羞恥に染まるのをオレは虚無な笑顔で眺める。
さあ、これからどんな反応してくれるだろう。
「…っ…」
期待に胸を膨らませていたオレは鬼男君の反応に拍子抜けした。いや、何に期待していたのか解らないけれど兎に角拍子抜けした。鬼男君は何も謂わず、オレの背中に腕を回して来た。そしていかにも愛しい物を抱き締めるかの様に背中に回した腕の力を強めた。
「…はっ、何その反応。」
オレの口から溢れた嗤いは何とも虚空だった。
「まさか本当にそんな事されたいの?どんだけ変態なのキミ。」
「…なっ、ちが…」
違う何て解ってる。そう謂う意味でオレを抱き締めたんじゃ無いって事くらい解ってる。
解っていてオレは、鬼男君の腕を振りほどいた。
そして動揺に染まった鬼男君の顔を苦痛に塗り替えたくて、鬼男君のモノの先端に爪を立てた。
「ひっ、ぃあっ」
訳の解らない奇声を発して鬼男君は背を弓の様にのけぞらせた。痛いとでも謂いたいの?でもキミの中は今ので信じられないくらい締まったよ。本当に、呆れを通り越して感心しちゃうよ。キミの被虐精神っぷりには。
「有り得ない。まさかこんな所引っ掻かれて感じてんの?オレ何かよりよっぽど変態だよ鬼男君。」
「やっ、やめっ…やめてくださ…」
「やだよ。鬼男君が気持ち良くなった分今度はオレが気持ち良くなるんだから。」
そう謂ってオレは鬼男君の最深部にまで腰を進めた。そして強く突いた。途端に肉の壁が一気にオレに絡みつくのが解る。嫌がってる割りにはまだまだイケるじゃん。それでも鬼男君の上のお口はどうしても素直じゃ無い。
「やだぁっ、離して…離してくださ…っ」
「そう謂えば本当に離してくれると思ってんの?残念だけど鬼男君の下のお口は凄い喜んでいるみたいだよ。」
何処までも性欲に忠実過ぎる彼の躯に憎悪まで湧いて来た。もう一度鬼男君の先端に爪を立てる。しまいには噛みついてやろうかな。
「他の鬼に犯される時もこんな事謂うつもり?謂って置くけど彼等はオレより聞き訳悪いよ。本当に止めて欲しくても止めてくれないかもね。」
「ひっぐぅ…、いや、いやだぁ…っ」
「尤も、鬼男君はされて嫌な事何て無いよね。」
ぐりぐり、と更に爪を食い込ませる。先端の肉が爪によって裂かれる。ああ、これは流石に痛そう。鬼男君の叫びも本当に悲痛な物になってきた。
「や…やだ…、あなた以外に犯されるなんて…いやだ…っ」
はっきりと聴こえた言葉。空耳だろうか。思わず手と腰の動きを止めた。
「大王以外に…こんなことされるのは…耐えられません…っ」
「…鬼男君、」
ほらね、キミはずるいんだよ。オレが弱い言葉を知って置きながら、そんな事も知らずにキミは平気でそれを口にする。
「もう一度謂って。」
「…大王以外と…こんな事したくありません…」
そしてオレは、何も謂えない。胸の中に広がる安心と悦楽と悲哀に恍惚する事しか出来ない。
この感情こそが、オレにとって一番の快感。
「…大王…」
キミの全てが欲しいんだ。躯と骨と心と視界と感覚とその存在が。そんな独占欲は裏を返せば『恋』と変わらない。いや、世間一般で謂う恋なんだろう。
それなのに、口にしたらいけないと思ってしまうのは何故だろうね。
「貴方を、愛しても良いですか?」
嗚呼
そんな事謂われた日には、オレの脳髄が


乱離骨灰


でも、そんな恋も良いだろう。



‐‐‐
御粗末様でした。(爆)
何かもー、あはんでいやんな閻鬼が書きたいと思って書いたのがコレです。笑って下さい。
どうしても殺伐とした雰囲気がまとわりつくのは何でだろう。
これを読んでH氏とH氏の声が出てきたら負けですよ。因みに私は惨敗でした←

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