本日も晴天なり。

□エピローグ
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青来歴29年6月5日
初書



本来、航海日誌とは、その船の記録たりえるべく、船長がその任を以て書くべき記録である。

しかしながら、本船の船長は字を知らず、任務を全うするにあたわざる。
従ってその次官として本官が、任を代わり遂行するものである。





―――本船は、これより、名をリヴァイアサン号と改める。
これは船長が自ら名付けたもので、伝説の、海の怪物に由来するそうだ。

誰の配下でもなく、暴れまわる自由な怪物。

これからの、我らの進路に相応しいか否やは、時を経たのちに結論が出るだろう。

また、本日、本船に新しい船員が乗り込んだ。

名前と記憶を失った少女で、医学的見地から、本官は彼女を9歳頃と診断した。

これも船長が、船の名前と同じ名を彼女に与えようとしたが、全員がこれを止めた―――総力を挙げて。

妥協案として、女性形をもじり、レヴィアータ、と名付ける。

彼女はこの船の子供として育てる、との船長の決定により、総員がそれぞれの得意分野を教育する事になった。

船は現在、順調に航海を続けている。
2日後には、テリス皇国の隣、ロスシルト大公国のチャール湾へ到着の予定だ。

必要物資、食糧を補給し、船に僅か改装を加える予定である。




その後、本船は更なる航海の旅に出る。

行く先は誰も知らない。
未だ、本船の地図は真っ白なままで、何も記入されていないのだ。

その奔放さをこそ、本官は誇りに思う。





自由船リヴァイアサン号 副船長
エリーズ・ダリル・トーラス記
―――追記、本日も晴天なり。













了.

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