何て幸せなんだろうと思う。 実家の上にある空よりも、もっと多くの星を毎日眺めることができるなんて。 そして、この星空を大好きな人と見れるなんて。 「あ!流れ星!」 「おー、そうかそうか。良かったなあ」 「…えー…」 そんなやる気のなさそうな、気だるそうな声を出さないで下さい。 言ってやりたかったけど、この保険医兼理事長はいつもこんなんだから、今更言うのも、それこそ気が失せた。 それを良いことにしたのか、先生は星から目を離さないまま「お願い事したかー?」なんて訊いてくる。 「先生」 「ん?」 「少しは相手を見て話しましょうよ」 「んーなんだー?お前はそんなに俺に見つめてほしいのか?」 「なっ!」 ちょっと水嶋先生が入っちゃってませんか!?もしくは水嶋先生が貴方に似ちゃったんですか!? 顔は上を向いたまま。でも視線はこっち。つまり流し目。 …色っぽすぎる。 私の顔の熱が一気に上昇してしまった。 「どうだ?見つめられて」 続いて真正面からの視線攻撃。 ああ、ドキドキするドキドキするっ! 「そ、そんなに見つめてほしいなんて言ってません!」 「ははは!悪い悪い!…まったく、いちいちこんなことで反応しやがって…」 「…?」 先生はわしゃわしゃと私の頭を三回くらい撫でた後、ピタリとその手を止めた。 見上げた先生の顔がやけに優しい。 と思った瞬間、おでこにちゅって柔らかいのが触れた。 「〜っ先生!今!」 「今更だろ?…まったく可愛い奴だな、お前は」 こんなやり取りも幸せなんだから、 私は一生この学園に感謝しなくちゃいけないんだと思う。 01.そこは幸せ溢れる国 (お前、これから先身が持たないぞ?) 【王子様とお姫様は結ばれました】 |