企画SS

□一意専心
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「…えっと?」


目の前にえへへと笑う月子がいる。テーブルの上には赤いカーネーションが二本。
俺はわけが分からなかった。

「月子?」

「ん?」

「これは…何?」

「カーネーション!可愛いよね!」


そう言って笑うお前が可愛いよ。

いやいや、違う。

問題は、何故俺が月子からカーネーションを受け取るはめになっているのか、だ。
花と彼女を交互に見ても、月子は笑うだけで、何がどう自分と繋がっているのかが分からない。
…直接聞くしかないか。


「月子、何で俺にカーネーションをくれるんだ?」

「ふふふ!今日は何の日でしょーか!?」

「え?」


月子からいきなり出されたクイズ。答えないわけにはいかない。
でも、答えはすぐに出なかったので、壁に掛けてあるカレンダーを見た。
すると、今日の日付に印刷されていたのは。




「…母の日」




「ピンポーン!正解!」


嫌な予感がする。


「月子、これはもしかして…」

「いつもありがとうね、錫也お母さん!」


…やっぱり。
これには肩をガックリ落とすしかなかった。
こいつからのプレゼントはとても嬉しいけれど、母の日だからという理由は複雑な気持ちにさせてくれる。
毎度毎度言ってるような気がするけど、性別違うから。俺は普通の男子高校生です。
そう否定しようと口を開きかけた時、先に月子が喋りだした。



「いつもいつも私のことを考えてくれてありがとう。多分、哉太や羊くんも思ってるよ。私達の好きなものをいつも作ってくれるよね。嫌いなものを作らなきゃいけない時は、食べれるように工夫してくれたり。…それから、私の、か、彼氏になってからも、愛し、て、くれて嬉しいです。私、錫也の優しさがない世界なんて考えられないの。錫也の優しさが当たり前すぎて忘れかけてた時もあったけど、錫也がいたから私はこれまで笑って過ごしてこれたんだよ。ありがとう、錫也、私の傍にいてくれて。―…大好き!」



俺は面を食らった。
最後の「大好き」なんて、俺には効果覿面だ。
まさか、こんなにも嬉しい言葉が聞けるなんて思ってみなかった。
言葉に出来ない、こいつを愛しく想う気持ちが身体中を駆け巡って、思い切り月子を抱き締めた。
こいつはなんて優しいんだろう。


「錫也!?」

「―…ごめん。でも、お前がイケナイ」

「え?」

「俺をこんなに嬉しくさせたお前がいけないんだよ」


本当はお前が悪いなんてことはない。我慢できない俺がいけないんだ。
分かってる。
分かってるんだけど。
もう、止まらない。









キスは、深く深く、俺の心を満たしてくれた。








一意専心
(この愛を君に尽くそう)




企画「君を構成したい。」
参加させて下さり
ありがとうございました!
錫也、だいすきです!!

― みさきうみ ―
















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