REBORN

□おいかけっこ
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「ちょっ…恭弥!何マジになってんだ!?」
「あなたには関係ないよ。ていうか、喋りかける余裕があるんだ。ふぅん…」
「待て待て待てー!!!!」

夕方の校舎。静かな廊下3階から1階へ。昇降口を駆け抜けて中庭へ。そのままぐるっと1周。再び昇降口へ戻って、1階廊下を猛スピードで走る人影が2つ。
前を走るのがディーノ、その後ろをトンファーを構えた雲雀が追い掛けている。
ディーノの直感は、こう叫ぶ。

『捕まったらヤバい』

あのオーラは尋常ではない。恐ろしい程の怒りが頂点に達している。今のスピードを落として捕まりでもしたら、滅多打ちにされること間違いなしだ。
それは確実に避けたい。
今度は階段を駆け上がり、2階廊下を風のように走る。

(しっかし…)

スピードはそのまま。ディーノは疑問を解決すべく、頭を回転させる。

(何で怒ってんだあ?)

ひとまず今日のこれまでの流れを振り返ってみよう。
朝、起きる。これ当然。
ちなみに日本には昨晩到着した。
準備をして朝食。これも当然。
そして迷わず並盛中へ。
ここまでに問題はない。だとしたら、原因はこれからか。
校舎に入り、ふとツナ達にしばらく会っていないことを思い出す。
気になったので会いに行った。
しばらく話をしてから、いつもの部屋 雲雀がいるであろう応接室へ足を運んだ。

(………ん?)

雲雀がディーノに怒りを向ける理由は2つ考えられる。

1.会う前に雲雀にとってムカついたことがあった。→つまり、八つ当たり。
2.ディーノに問題があり、ムカついている。

もしも2が原因で怒っているのだとすれば

(まさか…)

間違っているかもしれないが、聞いてみなければ分からない。
校舎の端にある階段を駆け上がり、3階まで登った。そのまま廊下を駆け抜けて、スタート地点に駆け込んだ。もちろんすぐ後に雲雀も入室し、まさに背水の陣。
ただし、普通の人ならば。
ディーノは窓際にあるデスクに座り、切れている呼吸を整えた。

「恭弥、追っかけっこはもう終わりな」
「僕はしてたつもりなんてないよ。あなたが逃げたから追い掛けただけ」
「それが自然にそーなったんだよ。もう逃げねえから」
「じゃあ咬み殺されてくれるの?」
「んなこと言ってねえよ…」

「じゃあ何?」と言う声は、爆発ギリギリな感じがする。だが、焦ることなくディーノは答えた。

「すぐに来なくてごめんな」

雲雀の動きがピタリと止まる。

「先にツナ達んとこ行っちまって悪かったな」
「あ、あなた…何言って…」

当たり。
雲雀の顔はみるみる赤くなっていった。
その反応が可愛くて、ディーノはつい笑ってしまった。

「ちょっと!何笑ってるのさ!!」
「あ、いやいや。ごめんな。恭弥が可愛くてつい…」
「はあ!?」

いつもの雲雀なら見ることは叶わない慌てた姿も愛らしくて。ディーノは近付いて、少年を抱き締めた。

「気を付けるから。すぐ来るから。…約束、な」
「…守らないと咬み殺すよ…」
「心します」

押し付けてくる身体は、言葉とは裏腹嬉しそうで。愛されているんだなーと感じる瞬間である。

ディーノも当然嬉しくて、しばらく少年を抱き締めていた。



鬼ごっこのオニ(雲雀)は、逃げ惑う者(ディーノ)に優しく捕えられた。







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