Starry Sky
□一瞬変化
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ずっと前から騒がれていた台風が遂にやって来た。学校も休み。窓がガタガタ鳴って、雨がぶつかってとても怖い。部屋で一人耐えていた。
誰かいればいいのに。
何回思っただろう?そしたらきっと怖くない。
ホントに来ないかな。
パッと思い出したのは優しい幼なじみ。でもって、恋人。
ああ、あの優しさと甘さが恋しい。
ガタガタと言わせている風は強くて、叩きつける雨は痛そうで、私の心はより一層泣きそうなくらい怖くなって。あ、本気で泣きそう。目の前が滲んできた。
嘘つきウソつき。ずっと傍にいるよって言ったくせに、肝心な時にいないんだから。いつもなら心配して飛んで来てくれるじゃんか!どうして今はいないの!?
けれど、段々とそんなことを考えてる自分が惨めになっちゃって、涙増加決定。
「…錫也…」
「ん?呼んだか?」
「へ」
あ、れ?おかしいな?私寝ちゃってるのかな?目の前に錫也がいるよ。
「ごめんな。ノックしたんだけど返事ないから勝手に入った。…月子?」
「錫也だぁ…」
「え。いや、そうだけど…、どうした?」
「夢かなあって…」
「夢じゃないよ」
握ってくれる手。その温かさはついさっきまで求めていたモノ。胸の奥がジンジンして痛い。ああ、夢じゃないんだね。やっと来てくれたんだ。
増加してしまった涙が頬を伝うのを感じた。
「…遅くなってごめん。怖かったのにな」
涙を拭う指先は優しい。もっともっと触れて。
「心細かったろ?ずっと一緒にいるからな」
私の身体は甘い温もりに包まれた。
風も雨もさっきと全然変わらない。でも、その音はもう聞こえない。愛するあなたの心音だけが聞こえるの。これで一安心。怖くないね。
「錫也」
「ん?」
「ありがとう」
「どういたしまして。お姫様を助けるのが俺の役目ですから」
それからは
優しくて甘い時間が流れて
ただただ幸せだった。
いつの間にか
空が晴れていた。
(そういえば、何で遅くなったの?)
(んー?これ、作ってた)
(あ!お菓子だっ!)
(まったく…現金なヤツ)
(プラウザバックでお戻り下さい。)