Starry Sky

□風呂上がりの一時
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あいつが、いた。
風呂から上がると、クッションを抱いてベッドの上に座っていたんだ。
俺はビックリして駆け寄る。いくら幼なじみで恋人だからって夜遅くに来るのは頂けない。俺の理性を壊す気か?

何でいるのかを訊いてみる。…答えない。もっとクッションをぎゅっと抱いてしょんぼりした表情(かお)をしてしまった。
その姿から俺の長年の勘が来た理由をはじき出す。たぶん、これだろうなあ。まったく、可愛い奴め。

ふと月子の手が俺へと伸ばされてきた。触れたのは髪。あ、ヤバい。ビックリして忘れてたけど、髪濡れっぱなしだったんだ。


「濡れてる…」
「そりゃあ風呂上がりですから。あんまり近付くなよ?濡れるから」
「…私が拭いてあげる」
「え?」


白くて小さくて細い手が優しく俺の髪を拭き始める。タオル越しに感じる月子の温もりが愛しい。
気持ちいい。


「錫也の髪、キレイ」
「はは、そうか?」
「そうだよ。羨ましい」
「お前の髪の方がキレイだと思うけど」


長い髪の一房を摘まんで弄ぶ。サラサラふわふわの髪。お前みたいでキレイ。
俺はそっと手にある宝物の一つに口付けた。


「錫、也」
「ほら、手が止まってるぞ?」
「…それどころじゃないよ」
「あははっ。…寂しかったんだろう?」
「え?」
「一人で、寂しくなっちゃったんだろう?」


言い当てた途端、ふにゃんと泣き顔になって。俺は抱き締めた。


「髪の毛拭いてくれてありがとう。お礼にお前が寂しくなくなるまでずっと傍にいるよ。ま、お礼じゃなくてもずっと傍にいるけどな」
「…うん」








今夜は理性との戦いになりそうだ。







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