テニスの王子様

□ある秋の日
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「ねー、幸村くん。何見てんの?」

隣から聞こえる些か不機嫌そうな声。

「読書の秋、だからね。丸井も何か読んでみなよ。」

「俺は食欲の秋だからいーの。」

そう言いながら俺の手元の本を除き込む丸井。

その様子が可愛くて、思わず笑みが溢れる。

「ふふ、旅行のガイドブックだよ」

「旅行?」

そうだよ、と頷けば首を傾げる丸井。

「どっか行くの?」

「行かないよ」

その答えに丸井はぢゃあなんで、なんて大きな目をきょとんとさせている。

1つ1つの動作が可愛いだなんて、そう思ってしまう俺は相当重症だと思う。

「昨日、京都のCMを見てね。紅葉がとてもキレイだったんだ」

聞いたくせに興味がなくなったのか、丸井は、ふーんと相槌を打っただけだった。

それ以来何も話さない丸井。

仕方なく俺も再び京都の旅行ガイドに目を通し始めた。

「なぁ…」

どのくらい時間が経ったのだろうか。

丸井と過ごす時間はとても暖かくて、思わず時間を忘れてしまう。

「なんだい?」

「いつか一緒に京都行こうな!」

突然満面の笑みで紡がれた言葉に俺は、柄にもなく頬を赤らめてしまった。


(丸井はどうせ食べ物目当てだろ?)
(別に良いだろぃ?京都の和菓子は格別だぜぃ)
(ふふ、丸井らしいね)
(それに…)
(ん?)
(ゆ、幸村くんと一緒ならそれだけで嬉しいし)


ある秋の日、2人で交わした小さな約束。

たったそれだけのことなのに、相手が丸井というだけで、とても幸せなことに感じたんだ。



構ってちゃんなブン太を書こうとして失敗しました(泣)
管理人は京都大好きッ子です!




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