お題
□慌てて離した手
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「さみぃー」
そう言って手を擦り会わせるブン太。
「なんじゃ。ブン太が手袋してないなんて珍しいのう」
いつも通りの部活の帰り道。
「朝寝坊して忘れたの!」
そう不機嫌そうに言うブン太が何故だかものすごく小さく見えた。
その小さく見える手が赤くなっているのを見るのはとても痛々しくて…
「…ブン太」
そう言ってポケットに突っ込んでいた手を差し出す。
「寒いんじゃろ?ほら、早く」
そう言って手を繋ぐよう促せば嬉しそうなブン太の顔。
「あったけー」
ふにゃ、と目元を崩し幸せそうに笑うブン太を見て、胸の奥が熱くなった。
「丸井先輩ー」
狙ったように後ろから聞こえた声。
先程まで幸せそうに俺の手を握っていたブン太はパッとその手を離した。
それも、ごく自然に…
今はもう赤也の方にいるブン太の温もりが残った手を見つめる。
ふと顔を上げれば挑発的な赤也の瞳。
珍しく自分の中を静かな怒りが駆け巡った。
(赤也の肩には普通に手を回すんに、俺相手じゃと慌てて手を離すのはなんでしゃ?)
(だってよー…におーだと変に意識しちゃうだろぃ?それに、恥ずかしいぢゃん)
(…そんなん見せつけてやればよか。)
結局はラブラブ\(^O^)/