ジョンヒョンのこと嫌いになる
「なんであたしなんだろ?」
「は?」
「別にもっと、美人で、巨乳とかさ、ナイスバディとかさ?」
「なにがいいたいんだよ」
「別によかったじゃん!あたしじゃなくても!ジョンヒョン選びたい放題だもん!」
「俺の好みの人が俺のファンとは限らないでしょ?」
ジョンヒョンはしれーっとしてる。
とくに気に留めることもしないで、さっきから平気な顔して雑誌読んでる。
「・・・・じゃあ、あたしがジョンヒョンを好きじゃなかったら、ジョンヒョンはあたしを好きになってなかった?!」
「そもそもヌナが俺をすきじゃなかったらこの恋は成立してないと思わない?」
「・・・・」
私が黙り込むと、ジョンヒョンは私を見つめていた視線をまた雑誌に戻して、ぺらりと本を捲った。
「俺のこと・・もっと好きんなってね」
最初からあたしが離れられないのなんて、お見通しで。ジョンヒョンはしれっとしている。
本当に・・・
じゃあ・・・
私がジョンヒョンを嫌いだったら・・・・どうなるの?
この関係・・・
終わるの?
「ねぇ、ジョンヒョン・・・」
少し重たい口調で呼ぶと、ジョンヒョンは少し目を瞬かせてソファーの背凭れからこちらに向き直った。
「・・・・なに??」
何にもわかってない顔。
ヌナだから・・・
いつまでも言うこと聞くと思ってるんでしょ・・
私がジョンヒョンから離れていくなんて・・・
思ってないんでしょ?
「じゃあ私、ジョンヒョンのこと嫌いになる!」
「・・・・ハァ?」
ジョンヒョンはマヌケな声をあげる。
「何いってんの?」
そして今度はちょっと怒った声。
ジョンヒョンは手に持ってた雑誌をテーブルに置いて、ゆっくりとソファーから立ち上がった。
こっちに来る・・・。そう思った瞬間。私は床に置いてた鞄を持ち上げてた。
「こ、来ないで!」
「は、ァ?」
ちょっと威圧するような強い声で、ジョンヒョンが眉間に皺を寄せて立ち止まる。
「か・・っ帰るわたし!」
そう言うと、バッと駆け出し玄関で靴を履いて勢いよく飛び出た。
運よく来ていたエレベーターに乗り込み。
それが、すれ違ったミノが乗ってきたからだったなんて、全力疾走してた私には見えもしなかったけど。
けど、私は閉まるボタンを連打して、追われる前にと・・閉まりきって下りて行くエレベーターに、ようやく肩を撫で下ろした。
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