チング
テミン「たとえばー100歩譲ってヌナがカイのことを好きだとするよ?」
カイ「100歩もいらねーよ。100%俺のこと好きだって!」
テミン「だーまーれぇええ〜〜〜っ」
テミンは立ち上がってカイの頬っぺたを両手で摘まみあげる。
カイ「いひゃい‥痛・・いひゃ、い‥!」
スホ「やめなさい2人とも!」
カイ「そうだそうだ!後輩いじめんじゃねぇっ」
テミン「だーまーれぇえーー」
スホ「まぁまぁまぁまぁ!!!!ι」
カイのグループのリーダーであるスホは、カイとテミンの間に割って入り、
2人の喧嘩を止める様に間を引き離した。
だが、
実際別に2人が仲が悪いというわけではない。
むしろいい。
友達の少ないテミンにとって、カイは数少ない親友の一人だ。
【チング】
年功序列が、練習生期間の短い長いにも左右されるこの空間では、
上下関係が厳しく、対等に話ができるのもごくわずかな人間に限られてしまっていた。
テミンがデビューする前、
練習生だったころからスホとカイはもういて、テミンがデビューしてもプロになってもなお、2人はまだ練習生のままだった。
あとからセフンやチャンヨルたちが入り‥新人が来るたびに、自分たちのデビューが危ぶまれる危険に身を晒して、ヤキモキを繰り返してきた。
練習生である期間が長ければ長いほど、自分に実力がないのではないのかと何度も葛藤する。
テミンと同じように小学生のころからここの門をくぐったカイ。
一度は2年経ってからまた来てと帰されるも、練習生になってからデビューするまでの道のりは、テミンよりも長かった。
境遇が似ているせいか、年の近い2人はすぐに打ち解けた。
テミンは年も練習生年齢もカイよりもお兄さんだ。
中学生の頃から一緒にいるのは、この辺じゃ2人くらいで。
思えば子供同士仲良くなるのは必然だったのかもしれない。
まわりは、大人にも見えるような立派な兄貴たちばかりで。
テミンは、そんな畏れ多くも兄貴たちに、自分よりも先にきてフローリングにモップをかけてもらえているのにも変な気がしていたし、
食事の休憩が先にでるのも、なんだか不思議な感じがしてきていた。
練習生になって、もう3年目の春だ。
そんな時。ふらりとカイが現れた。どう見たって年が同じくらい。それでいて、テミンの方が、お兄さん。
テミン「・・・ねぇ、購買でパン買ってきて」
カイ「はい。いいっすよ」
そんな会話から始まって・・・。
テミン「カイー食堂行こうよー」
カイ「えー俺今日弁当持ってきてるのに?」
テミン「はぁー?分けろし!ww」
そして最終的に・・・。
カイ「テミーン食堂一緒いこー」
テミン「いくいくーちょっと待ってー」
まで。親しく会話できるようになった。
それは、引っ込み思案で人見知りの激しいテミンにとってはすごい進歩で。
カイはつまり、
テミンにとってかけがえのない存在、ということなのだ。
・・・
カイ「・・・ものすごい端折られたけどね」
テミン「いいの。これそんな長編とかじゃないし」
カイ「いいけどね、別に」
テミン「別ジャンルなのにここにお前が登場できることが奇跡だからね」
カイ「まぁね」
テミン「あぁ〜あ・・。でもほんと・・・ヌナはどうしちゃったんだろ・・」
カイ「だから、俺のことが好きになったんだって」
テミン「それはナイ!ぜぇったい無い!」
カイ「なんでテミンがそんなことわかんの?」
テミン「ヌナのタイプはカイとは違うもん」
カイ「アァ〜?」
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