SHINeeの自由帳

□ひとりとひとつ〜ジョンヒョンと擬人化編〜
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横で残念がる兄をよそに、一人アイマスクをつけ、2時間寝る体勢に入る。


こんなテンションに密閉された空間で2時間も相手にされてたら…死んでしまうわ!


眠る前に1回だけ後ろを振り返ると、

後部座席でミノが眉間に皺を寄せていた。


「兄さん、それやると早く老けるよ?」


「うーん」




思わず言ってあげたけど、兄さんはまだ難しそうに考え事をしていた。



体勢を元に戻すと、隣の男がソワソワと窓の外を眺めている。


いかんいかん、早く寝よう。









だけどそれは、ホテルについた、一番最初のことだった。




ジョンヒョンが部屋に入る拍子に、


持ってた携帯の電源をミスでOFFにしてしまったんだ。



ジョンヒョンがミスって、「あー!」って言った次の瞬間、




一瞬の隙を突いたみたいに、携帯が、"女の子"に変わったんだ。





それは、紛れもなく。ヌナだった――。






部屋の入り口で固まる5人。真後ろにいたミノが、



「やっぱり…!」




と、声を出す。



「日本のものには、古くから魂が宿るって聞いたことあったから…」


「ねーよ(^ω^)」





思わずミノ(年上)に対して素声で返答してしまった。



しかしこんなマジック、間近で見せられて、信じないわけにはいかない。

満場一致で、彼女は"ひとでない何か"に分類された。



いちばん驚いてたのは、ジョンヒョンだ。


そしていちばん喜んでたのも、ジョンヒョン。




僕たちが日本に来て、滞在できるのはほんのわずかな時間だった。



だから、ジョンヒョンはほとんど、片時も彼女を離したりしなかった。





ステージに入る前の楽屋でも、ジョンヒョンは彼女を膝に抱いたまま。


上機嫌の、まさに有頂天だ。




ステージに上がるようにスタッフに声をかけられる。


ジョンヒョンの表情は一瞬だけ少し曇ったけど、

彼女を一人椅子に座らせて、ぽんぽんと頭を撫でた。


それから、



「行って来るね」



と、声をかけて。ジョンヒョンは部屋をあとにした。



ステージに上がる前。

俺は、もしかしたらジョンヒョンは元気がなくなっちゃうんじゃないかって、心配した。

だから、その分も俺が頑張ろう、なんて一人意気込んだりしたんだけど、




そんな心配要らなかった。





ステージに出た瞬間。関係者観覧席に、あの子が座ってたから。



当然、ジョンヒョンのテンションの上がり具合は半端じゃなかった。



隣の俺がドン引きしそうな勢いだった。



そりゃあもうオニュにマイク渡して俺だって一人踊り出すよっていうくらい、凄まじかった。


ステージは逃げられない。←


スピーカーの上にあいつが足をかけた瞬間、ミノ兄が本当に恋しくなった。



無事に最後の曲まで歌い終わり、


ジョンヒョンがステージに手を振る。


また楽屋に戻ってくるのか、彼女も席を立ったのがわかった。


ジョンヒョンはぱたぱたと裾に消えてゆく。



ゆっくりと俺がステージから上がり終わると、

ジョンヒョンと彼女が抱き合って喜んでた。





それが、俺が知ってるジョンヒョンとやばい彼女のこと。



そのあと、2人がどうなってるのかなんて、知らない。


けど今も、ジョンヒョンはその、

携帯を、大事に持ってる。




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