SHINeeの自由帳W

□とりこにする君
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「ヌ〜〜ナッ!」

『ちょ!近寄んないで!』

「・・・・」


構ってほしくて、いつもの調子で甘えるようにヌナに手を伸ばすと、

パチンと音を立てて僕の手は払い落とされる。

きょとん、と目を瞬かせる僕を、キッと睨みつけるヌナは、静かにまた雑誌に視線を戻していく。



時々ある。


ヌナには時々来る。





"僕たちが嫌いです周期"。






「怒ってるのって、またジョンヒョン関連なんでしょ?違うの?また誰彼構わず愛想振り撒いてた?」

『違う、ジョンヒョンじゃない』

「え?」

『テミンだもん』

「……え?」


いつもと違う答えに、僕は目を丸くしてきょとん、とする。



『最近妙に男らしいし、』

「…は?」

『テミンは可愛くて細くて…少し馬鹿なくらいが調度いいんだもん!』

「最後は余計だけど」

『馬鹿だもん!』

「はいはいわかった、馬鹿でいいから」


今にも泣きそうなヌナを抱きしめて。

一緒にソファーに座りなおすと、僕は腕に抱いた彼女の背中をぽんぽん、と撫でる。

ヌナは小さくなって、
僕の腕にすっぽりと埋まった。




(ずるいなぁ…)



ヌナなのにこーいう時しっかり女の子なとこ。



普段は喧嘩腰なのに、ちょっと言うと高校生の僕でも全然丸め込めちゃう子供っぽいところ。




というか、絶対精神年齢は子供の僕より子供に決まってる…。






「……ヌナ、」


『ん?』


腕の中で聴く声は全然子供で。


僕はつい錯覚する。



「僕が好きだって言ったら信じる?」


『信じない』

「信じるよ、ヌナ優しいもん」


『・・・・』


「僕のこと好きになってよ。そしたら僕のことはきっと全部好きになるよ」

『は?』


今度は素っ頓狂な声を出してヌナが驚いた顔で僕を見上げる。


「だって、僕はヌナのために変わるんだから」

『なぁ・・っ?』


「ヌナが知らない人、になるわけじゃないよ」

『・・・・』


すぐに不安げな顔。

ぞくぞくする顔。



『でも、テミンが知らない子みたいでやだよ…』


「・・・・」



そしてそんな・・・・

言い寄られちゃったら、

いくら子供だと言われる僕だって期待しちゃうんですけど・・・・(、いいの?)


「…ヌナ、」

『ん?』

「別にたいして僕のこと知らないくせしてそんなこと言うなよ」

『なっ!』



突然そんなことを言われてさ。


君はほら、今にも泣きそうな顔。


僕はしめた顔。




「ヌナは別にたいして僕のことなんて知らないんだからさ、僕が変わったってたいした違いじゃないでしょ」

『なっ…なんでそんなこというのよ!』

「だってそうなるじゃん。知りもしないくせに僕に変わるなとか言うなよ」

『そんなこと言ってないでしょ!』

「同じだよ」

『私が何を知らないって言うのよ・・・っ!』



(ほら?こうなれば君は袋のネズミだよ)



「僕のこと、知りたい?」

『テミ・・・ッ、』




じりじりと距離をつめれば、君との距離はあっというまに0になる。


重なる唇と唇を生で感じて、君の口の中の感触も温かさも全部飲み込む。


『ん・・・・ッ・・ンっ・・!』

「・・・まだだめ、」



口の端から零れる唾液が、首筋を伝う。


『ふっ・・・・ぅっ・・ン・・』


鼻から漏れる息に、僕はようやく唇を離し、その甘い香りから我を取り戻すように三度大きな深呼吸を肩でした。



「・・・・・・僕いつまでも子供じゃないんだよ」





その言葉に、ヌナの眸が一瞬だけ怯えるように揺れた。



『・・・・・テミン?』

「名前を呼んだらキスするぞ」

『・・・・・』


「言わなくてもキスする」

『なぁっ!・・・・んぅっ…っぅ・・!』


噛み付くようにキスをして唇を離すと、ヌナがわなわなと唇を震わせていた。


『なんでこんなことするのっ!』

「好きだから」

『・・・なァッ・・』

「知らなかったでしょ?ヌナは僕を見てくれてなかったから。知らなかったんだよ。本当は僕がヌナを好きだって」


『だ・・・・だって・・・・っェ、・・えっ?』




「・・・・いっそ・・・・・、嫌いになってくれてればよかった・・」







重ねた唇はもう、永遠に僕のもの――。




もっと、知ってよ。


もっと、不安になってよ。


そんな顔さえも、僕をとりこにする君。



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