SHINeeの自由帳Z
□「恋じゃない」メルマガvol.4
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もうすぐ君がいなくなること・・・
僕たちみんなが知ってた―・・。
【恋じゃない】
「アイツが抜けるなんて聞いてない!」
声を張り上げたジョンヒョンに、場の空気が一瞬でピリリと緊張した。
ヒョンが食って掛かったのは、僕たちをまとめる・・・つまり、デビューまでの道のりを作ってくれた、これからマネージャーヒョンになる人で…。
「テミナだってそう思うよなァっ?」
くるりといきなり自分に話題を振られて、テミナはびっくりしたように肩を揺らした。
「末っ子にふるなよ」
「チームの問題だろうが」
間に入ってくれたのはミノヒョンで。だけどジョンヒョンはそれでもくってかかってた。
僕らのハーモニーはもう、彼女がいないと出せないってわかってた。
ひっくるめてコンテンポラリーだと。
最初は大きく揉めにもめただけに・・・一番最後までこの音に愛着を持ったのはジョンヒョンで。
ヒョンはさいごまで姉さんが抜けることに反対した。
姉さんはヒョンよりも1つ上で、オニュヒョンと同い年だった。
一番上の父と母がしっかりしていたので、
末っ子の僕はすっかり甘えて。
いごこちのいい空間に、僕はなんて恵まれたチームに所属されたんだろうって。普段お祈りもしないような神様に、感謝までしたくらいだ。
・・・なのに、突然の姉さんの脱退。
僕たちがチームを組んで1年。
それは、デビューが決まる直前のことだった。
「ヌナがいなくてもこのチームがやっていけるって誰が保障できるんですか!」
ジョンヒョニヒョンは、一向に意見を曲げるつもりじゃないみたいだ。
「お前が何と言おうとこれは上の決定なんだ。5人で活動する、それがデビューの条件だ」
「シャイニーは6人だ!」
譲る気配を見せないジョンヒョニヒョンの態度に、見かねたようにゆらりと動き出したのはオニュヒョンで。
僕は肩を掴まれてうしろに身を引いた。
「・・・・僕が、・・・抜けるように彼女に説得したんだ」
「・・・・ア?」
―それは・・・、僕にとっても意外な言葉だった。
「彼女に、チームをやめてもらうように言ったんだ」
「なんだよそれっ!じゃあ俺も辞める・・ッ、」
「自分が辞める代わりに、5人をデビュさせることを条件にしたのは彼女だ」
「・・・っ?!」
ざわつく空気の中、オニュヒョンは言葉を続ける。
「彼女が、僕たちをデビューさせたんだ」
その言葉に、部屋にいたみんながしーん、となった。
空気がみんなこおりになったみたいに。吸い込むとぞくりと背筋が震えた。
僕の背中も・・・。
みんなの背中も・・・。
「オニュヒョンは・・・・、どうしてヌナを辞めさせたの?」
口から出た僕のことばに、
オニュヒョンはじっとこちらを見つめたまま黙り込む。
無言の瞳は、僕の心を射るようにちくりと胸を刺した。それは、こわれるような痛みではなくて。じんわりと穴の開いた蓋の、こころから何かが溢れてくるような。
その蓋をしたこころに気がついた時、
ヒョンは僕と同じ気持ちなのかな、って・・思った。
「・・・やっぱ、いい、」
そう思ったら、咄嗟に僕はその言葉の続きを遮ってて。
なんだかその先を聞いてはいけない気がして。
胸を燻り続けている想いを抱えている方が・・・、いっそらくな気がした。
未来を待っていたはずの僕らが・・・
もう限界だったなんて思いたくない。
だけど。
部屋に残る甘いキミの匂いに、
さいなまれ続けていた、あの夢のような、時間は終わったんだ。
【恋じゃない】
禁断だったキミの部屋は、今も空っぽのまま。
fin.