EXO2

□大丈夫、大丈夫
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グーグがいなくなって一番最初に顕著になったのはイーシンだった。



イーシンは最初から物静かな方だったけど、クリスとはいっとうに仲が良くて。

仲がいいっていうか、クリスの言うことなすことにはいちいちツッこみをいれてるような。そんな関係。


服装がド派手なグーグに対しても毎回口を挟んでいたし、グーグのルーズさにも毎回なんか言ってた。

ふつー何回か見たり聞いたりすれば飽きる‥っていうか、どうとも言わなくなるのに。イーシンはそれでもずっと云ってた。


それは毎回伝えたい言葉だったのかもしれないし、

毎回飽きもせず言い続けることで、何かのメッセージだったのかもしれない。


今となってはその真相もわからないけど。




二番目にルハンが辞めた時、イーシンは珍しく何も言わなかった。

まるでわかってたみたいに。

口を噤んで何も話さなかった。



僕とイーシンの二人だけの中国人メンバーが残った時、


一番最初に今後のことを計画しはじめたのは、おそらくはイーシンの方が先だった。

僕はただ漠然と、ふたりが抜けた穴埋めの分を、自分がもっとがんばらなくちゃいけないんだろうなって。


そればかり考えていた。


寂しいとほんの少し思ったこともあるけど。でもそれはほんの少しで。


がんばらなくちゃいけないことの方が多くて、立ちはだかるものをクリアしていくことに精いっぱいの日常に、感情なんてすぐに掻き消された。


僕の言葉を理解してもらえないのにももう慣れていたし、

僕の名前も知らないスタッフに頭を下げる生活にも慣れてた。


不便なことと言えば、食べなれた味がでてこないことだろうか。


料理をよく作ってくれていたイーシンも、このところ忙しくてあまり振舞ってはくれない。


練習生だった頃、よくイーシンが夜食をつくってくれた。

それをクリスの部屋で食べる時間が楽しくて。

遅くても、その時間があるから1日頑張れる。


そんな時もあったのを思い出した。


誰がいなくなって寂しいとか、誰と離れて寂しいとかその時にはなくて。

イーシンが戻ってきた時に、クリスが作ってくれた香味ペースト入りのチャーハンがすごく不味いって。イーシンが涙した本当の理由をみんなわかってて。

僕はそのチャーハンがやけに胸にしみた。






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