EXO2

□大丈夫、大丈夫
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レッスンの時の練習着から着替えを終えたイーシンが、更衣室で靴紐を結び直してる。




タオはロッカーについてた鏡で、後ろのイーシンを確認しながら、結び終わるタイミングで扉を閉めた。


イーシンは不思議そうな顔をしてタオを見上げる。

タオはまだレッスン着のままだったからだ。



LAY「・・・着替え、ないの?」


タオは少し考えてから、


タオ「・・寄るとこあるから」


と答えた。


「へぇ、」とそっけない返事をして、LAYがリュックを肩にかける。


LAYは最近自分の知らないところで忙しい。


それが精神的にストレスになってたとは思いたくはないけど・・・。



タオは思い出すように自分の足首に目を落とした。


油断というのは、心の隙にやってくるんだと。


ふたりが抜けた穴を完璧にこなそうと努力してきた自分には、そんな孔はどこにもないと思ってた。


でも本当は…


見えなかった、

だけなのかもしれない。




タオ「张艺兴・・」


LAY「ん?なに?」



中国語で返せば、中国語で返ってくる。


一文字も逃さずに、僕の言葉を聞き取ってくれるイーシン。



だから僕は・・・、



タオ「映画・・・がんばってね」

LAY「珍しいな。どうしたんだよ、腹でもすいてんのか?」


「うん、そうかも」と僕は誤魔化した。



LAYのためにも、僕はここにいなくちゃいけない。


僕がちゃんと、がんばらなくちゃいけない。



みんなで食べたあの味が・・・僕の胸を締め付ける。






タオ「グーグの作ってくれたチャーハンが食べたい‥」


LAY「水気が多くてべちゃべちゃだったやつだろ」


タオ「でも、もう一回食べたいんだ・・・」





僕は呟くようにもう一度「想吃」と中国語で言った。



イーシンは背中にリュックを背負うと、



LAY「帰ってきたら作ってやるよ」



そういって僕の肩をたたいた。


肩に置かれた手の重みで、僕の足がズキンと痛んだけど、僕は大丈夫と言い聞かせた。



LAY「タオ?」


タオ「ううん、なんでもない。大丈夫、大丈夫‥」




僕が、もっと頑張らなくちゃ――。



誰にも言えないことの一つや二つ誰にだってある。







【大丈夫、大丈夫】



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