SHINeeの自由帳]T
□タイムリミット
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最後に会ったのは、君がまだおろしたてのカーディガンを俺に自慢げに見せてくれる季節だった。
夏が過ぎて、少し寒くなったあの頃、お気に入りのワンピースの上に羽織るカーディガンをずっと探してたって言っていた君は、俺にそれを見せるようにくるりとまわってくれた。
そんな君が・・・
――突然、いなくなるなんて。
【タイムリミット】
付き合ってくれなかったら、泣くよ、って。
ばかみたいに縋った俺を押し返せずにそれに負けた君は、思えば最初からお人好しだったね。
人がいいから誰かに傷つけられることも多くて。
たくさんの人が、俺と君の間を行ったり来たりした。
そのたんびに君は俺の手をとる時に少し躊躇って。
それでも俺が掴めば、ちゃんと握り返してくれた。
いろんな時間があった。
7年という長い時間の中で、君と俺は、ずいぶん成長したんじゃないかな。
重ねた年齢の分だけじゃなくて。
旅した数とか、思い出の数の分だけ、俺と君の考え方も、少しずつずれていったんだろうか・・・。
だから君は・・・・・いなくなったのかな?
けど、そんなことないって、俺の頭が何回も絡まった糸みたいにぐちゃぐちゃになって、そのたんびに解けなくなって、
けどいつか解けるんじゃないか・・・・解けたら、それは君と繋がってるんじゃないかって・・・・・・
・・・・じゃあ、いいかな、って、
解くのを諦める自分がいるよ――。
key「ジョンヒョニヒョン?はがきがきてるよ?」
テミン「キレイなおねーさんが写ってる」
ジョンヒョン「え?」
宿舎で、弟たちに選別されたはがきを1枚受け取る。
そこには、ウェディング姿の君が写っていた。
階段から降りる君の手をとっているのは、俺の知らない優男。
key「親戚の人?」
ジョンヒョン「・・・え、?」
険しい顔をして振り返ったのか、キボムが困ったような罰の悪そうな顔して笑った。
俺は今、どんな顔をしてたんだろう。
いらいらした顔?むしゃくしゃした顔?それともせいせいした顔?
でなければ・・・・泣き出しそうな顔だったんだろうか・・・。
key「・・・キレイな、花嫁さんだね」
ジョンヒョン「・・ああ、」
・・・本当に。
それを、俺に見せてくれれば、いちばんよかったのに。
俺のために着てくれる、わけじゃ・・なかったん、だ、って。
飲み込むように、グッと奥歯を噛んだ。
噛んでないと、涙がこぼれそうだった。
俺といた時間は、なんだったんだろうって。
いったい何が間違ってたんだろうって。
君がいないから答えも出ない。
きっと俺は、会ったらまた、ばかみたいに泣いてしまうんだろうか。
君がいない人生なんて考えたこともなかった。
これから、考えていかなきゃいけないのか。
君としたかったたくさんの未来を、
ひとつひとつまず消していかなきゃいけなくて。
そうしたら、また新しいことを書いていけるのかな。
それは、君を取り戻すことじゃだめなのかな。
だめか・・・。
だめだな・・・。
写真にうつる君に、涙がこぼれそうになる。
最初からなかったものみたいに簡単にいなくならないでよ。
俺は今もココにたって、君を待って、動けずにいるのに。
君の幸せを認めなくちゃいけないのに――。
【タイムリミット】
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