夢物語

□胡蝶之夢
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「クロウ、この頃嬉しそうね。何か良いことでもあった?」
「うーん。侑子には話しておこうかな?…初めて、私に好きな人が出来たんだ。恋愛感情が芽生えたという意味でね。
この話はソエルとラーグ、ユエとケルベロスにも内緒だよ。」
「あぁ、妬きもちやいちゃうもんねぇ。」
「私としては、皆好きだけどね。でももっと好きな人が出来たんだ。」

ズキン。心が傷んだ。

他の子達には言わないのに、私だけに教えないで欲しかった。

「へぇ、クロウがね。で、告白したの?」
「うん。晴れて両想いになったよ」
「おめでとう。クロウを好きになってくれる人なんていたのね。世の中には物好きもいるもんだわ。」
「ははは。私もそう思うよ。」

本当は“おめでとう”なんて言葉、言いたくなかった。
だってクロウの隣にはずっと私が居れると思ったから。だからいつもの憎まれ口を言ってしまった。

でも、クロウの笑顔が見れるなら、私も笑っていようと思ったの。



今、クロウの子孫が消えそうになってる。それを食い止めるのが私の役目。

それが終わったら私も消えてしまうのかしら。
現実は夢で、夢は現実なら、ずっと私の時は止まったまま。
この想いも風化せずに確かに残っている。

私の時が動いたら…
変わるのかしら?



『うつし世はゆめ
夜の夢こそ
まこと』



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