夢物語
□高鳴る鼓動
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「つまらない街ねぇ…」
頭上から聞き慣れた声が降ってきた。
本当なら、その表現は正しくない。
聞いたことはあるが、生で聞くのは初めてだ。
そしてその声の主は飛び立った。
夢中で追い駆けていた。
人混みも、自転車の列も、信号も何もかも気にしないで、ひたすら走った。
もしかしたら烏かもしれない。ヘリコプターの影が見えただけかもしれない。
でも、そんなことは気にせず、無我夢中で走った。
そして予想通りの病院に辿り着く。
あの声の主は病室の一室の窓の縁に座って、やはり、歌を聞いているようだった。
現実にいたのか…
うん。いてもらわないと困る。
でも、そうしたら他の少女達もいるということだ。
嬉し過ぎる。
当分この胸の高鳴りは抑えられないだろう。
そして明日はもっと、彼女に近い存在でありたいと思った。
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