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□鈴蘭 Brother
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今、街中で話題になっている天海航の弟に、昨日ジョーさんが会ったらしい。
08.Brother
「あの噂、マジだったんだな・・」
鳳仙学園の月本光政は、誰に言うでもなく呟いた。
いつにも増してぼーっとした表情で街の中を歩いている彼の頭の中は、天海芽生で埋め尽くされていた。
(航さんの弟・・・やっぱり鈴蘭に入ったのか)
天海芽生の噂はもう街外れの中学生にまで届いている。
好奇心旺盛な光政が気にならない訳がなかった。
(・・・会ってみてーな…サインもらいてー)
、丈が芽生の事を
「華奢で、女っぽい顔つきをしている」
と言ったのを思い出す。
それはかなり頼りない情報だが、
鈴蘭の制服を女みたいな奴が着ている、となれば話は別だ。
鈴蘭の人間で女っぽい生徒なんて、数えるほどしかいないだろう。
いや、天海芽生1人かもしれない。
そんなことを考えつつ、探索を続ける光政。
だが、未だ芽生の行動範囲を掴めていない光政は、手当たり次第に街を歩き回ることしかできない。
「なぁ、ちょっといいか?」
すると突然、声をかけられた。