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□鈴蘭 天地寿という男。
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その日、校内は嫌に殺伐とした雰囲気だった。
05.天地寿という男
どうやら昨日私がブライアンに向かった後、事件は起こったらしい。
夕食後に、血気盛んな一年共が話していた。
ブッチャーがどうした、天地がああした言っていたが、
直接私には関係ないと思ってたのに、
“天海 航”の『弟』っつーのは、本当に面倒くさいものらしい。
「天海、芽生だな?」
目的地も、予定も計画もないまま、校舎内をフラフラしてたのがいけなかった。
歩いていた廊下で、金髪の目つきの鋭い少年に声をかけられてしまった。
「おう、俺は天海芽生だ。何か用か?」
私がそう言うと、少年はニヤリと、悪意と敵意と殺意を鮮やかに織り交ぜた笑みを浮かべた。
「アンタ、兄貴が居るらしーな。数年前まで、この街で誰もが認める頭張ってたそうじゃねーか。」
「・・・あー、まぁ、そうらしいな」
(・・・やっぱり兄貴絡みかよ)