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□鈴蘭 天地寿という男。
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「アンタは興味ねーのか?この街の頂点に」
この質問は何が目的で、何が理由で、そもそもその質問のどこに必要性を感じればいーのか。
「さー、どうだろうな。」
(そんなもん、取れる訳がねーだろ)
私が小さく笑ってそいつに言うと、少年は眉間に皺を寄せた。
「例え興味があったとしても、テメェの名前すら名乗れねーヤツに教える筋合いはねぇよ。」
今にも殴りかかりそうな勢いで睨んでくる。小学生みたいな安い挑発だ。
「んじゃ、俺はこれで。」
片手を挙げて別れを告げ、これ以上関わりたくないと思いながら、踵を返した。
(・・・これから毎日、こーゆー風に絡まれんのかね)(天海航の弟か、って)
もと来た廊下が、やけに長く見える。
「俺の名は天地寿だ。これで文句はねーだろ?」
天地?
ああ、後輩共が話してた昨日の一年戦争の問題児か
「そうか、お前が例の天地少年か」
軽く呟いて、ゆっくり振り向いた瞬間、
大きな拳が顔に迫っていた。
「おお!?」
(あっぶねぇ…!
間一髪…!)
一応、何とか避けられた。
少しだけ天地を警戒していた分だけ避けるのに余裕が出来ていたらしい。
「・・ほう、さすがは天海航の弟だな」