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□鈴蘭 tragedy
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「・・・天海」
昼からずっと、病院の外の植え込みの前でうずくまっている天海に、
声を掛けるのは今が初めてだった。
(コメとゼットンと軍司は終始コイツの心配をしていたが、俺に天海を任せたらしく、ついさっき帰っていった。)
痛々しいほど落ち込んでいる。
いつもの笑顔が嘘のようだ。
俺は、目を細めてソイツの隣に座り込んだ。
「・・・ごめんなさい・・・俺のせいでマサ先輩が・・・・」
しばしの沈黙の末、
やっと口を開いた天海。
だけどまだ、顔は腕に埋めたままだ。
「・・・ばーか、お前のせいじゃねぇよ。
敵は俺が討ってきたんだ、それにコメが言ってただろ?
あいつは大丈夫だ、心配ねぇ」
だから、落ち込むな
お前のそんな声、聞きたくねぇよ
「・・・だって、俺をかばって殴られたんですよ?
俺のせい以外の何物でもないじゃないですか・・」
(・・・馬鹿な奴・・)
そうやって、全部。
そんな小せぇ身体に抱え込んで。