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□番外編2
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「福田さん!聞いて下さいよっ」
「あ?なんでお前ケーキなんて食べてんだよ」
「福田先生ー!一緒に食べるです!」
「今日は天海先生のお祝いだよ」




お祝いと短編集



福田真太が『CROW』新妻エイジ先生のアシスタントとして今日も仕事場へやってくると
メシスタントの天海が満面の笑顔でケーキを頬張っていた

少女漫画家であり月刊誌りぼんで『フランボワーズの宝箱』を連載している天海メイ
新妻同様に連載作家として東京に出てきた天海は新妻のように人気漫画家としてお金に一切困らない
というわけではなくまぁまぁな人気漫画家
それも週刊少年誌と月刊少女誌では人気と言っても色々な数が違う
1人暮らしでまだ親から仕送りはくるがお金の事に彼女なりに悩み
月刊誌の1本連載を持っているが
同じ集英社の他誌で読み切りを何本か短期間にやったり
新妻の所でメシスタントをしたり色々と頑張っている少女漫画家である
そんな若き可愛い天才少女漫画と編集ではもてはやされている本名天海芽生だが
今は甘い甘いケーキを頬張りながら福田に話しかける姿はそんなもの見る影もない

天海が日頃から少女漫画家とは!っと
色々と少女漫画家らしい見た目や言動に注意しているが
いくら可愛い服を着てケーキを食べていても行儀が悪すぎるんじゃ意味がない
福田は若干天海に引きつつも
親切に天海にどうしたのか聞いた


「・・・・天海なんか良い事でもあったのか?」
「へへっ実はですね 今までの読み切りをまとめてコミックスになるんです!」
「天海先生コングラチュレーション!」
「わっ先生!今ソレは止めて下さい」
「ケーキにトーンのカス付くっすよ新妻くん」


もぐもぐとまだ口を少し動かしてはいるものの
まともに話せるくらいにはなっているようでケーキにも負けないくらい甘い笑顔で
新人漫画賞準入選、銀のティアラ受賞、過去読み切り・・・
フラ箱連載前の漫画から連載中に書いた漫画を集めてコミックスにするのだと
それはそれは嬉しそうに見ているこっちまで嬉しくなるような顔と声で報告した
そしてそんなお花が舞ってそうな天海に実際新妻がゴミ箱の中身
主に漫画を書くときに出たトーンやらのカス屑を紙吹雪代わりに舞い投げ
天海の笑顔に触発され見ていた中井が本当に嬉しそうにぽわ〜んとしていたが
祝いのケーキにゴミが付く!っと慌ててケーキを遠ざけた

いつもと違った慌ただしさのある仕事場で
とりあえずケーキは守られ
福田も入れて引き続き天海の短編集コミックス発売祝いを始めた


「短編集出すほど売れてたのか?」
「失礼ですねっ何気に本誌内では上位ですよ!」
「でも月刊誌だろ それも少女漫画ってコミックはあまり出ないんじゃないのか?」
「うっ そ・・そりゃ新妻先生みたいに売れないよ 少女漫画は・・・・・」


ブラックでケーキというのはとても対照的だが
紅茶はあまり飲まない福田が2杯目のコーヒーをお代わりをした時
グサッと天海の胸につく言葉を無遠慮に・・・
というかこれがいつも通りのことなので周りもさほど気にしていないが
天海は福田の厳しい言葉に縮こまりつつも読者から熱い熱い要望があったのだと愚痴のように呟き
可哀想に思った中井が福田の攻撃から天海を助けた

でれーっと緩んだ顔で2個目のケーキを幸せそうに頬張る天海に
先ほど福田がぐさぐさ天海の痛いところをついたのにも関わらず
もう笑顔になってやがるっと現金な奴だと福田が天海を観察しその緩んだ頬を引っ張ってみると
男性の自分より柔らかい女性の
天海の頬は福田にとって思いのほか触り心地がよく反応も良かった為
その後
自分のケーキ1つを食べ終えた福田は仕事が始まるまで天海の頬を引っ張ったり
間抜け面と緩みっぱなしの天海の顔に笑ったりしばしご機嫌だった


「美味しかったです!」
「流石中井さんっまたお店教えて下さいね」
「うん 今度一緒に行くのはどうかな?」
「・・・・・・・・」


2個以上ケーキを食べた新妻と天海が食べ終わり
さぁこれから漫画を描くぞーっという時
空のケーキ箱と食器を天海と片付ける中井に
福田はやはりまた中井が下心丸出しでこのケーキを買ってきたのか!っと
既に奇声を発しながら漫画を書き始めた新妻を横目に1人呆れながらカップのコーヒーを飲み干した

その後
中井と福田もアシスタントの仕事に戻り
男3人がペンを走らせる中
ケーキを食べたので夕飯は遅くなると思われるが
メシスタントとして片づけをして夕飯を作り置きしていた天海に
コーヒーのお代わりを淹れる彼女の隣に立った福田

ぼそっと天海の耳になんとか入った言葉は
今日初めて聞いた福田からの祝いの言葉だった
 

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