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□番外編4
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「おっ天海」
「ふ くだ・・さん?」
「!!? お前・・締め切り明け か?」
「4徹は流石にこたえます・・ね」




そうだ!ティスニーに行こう



週刊少年ジャンプ連載漫画家
新妻エイジ先生のアシスタントを終え近くのコンビニに立ち寄った福田
パンコーナーに見知った後ろ姿を見つけ声をかけると
今にも床に崩れ落ちそうな月刊少女漫画家が振り返った


「そ そうか・・お疲れさん」
「はい・・・福田さんも仕事終わりですか?」
「あぁ」


目の下に隈
髪の毛はぺたんこ
素っぴんで青白い肌
帽子と可愛いプリントのTシャツにカーディガン
ロングスカートにミュール

常日頃
少女漫画家とは!っと人々の理想を壊さない
寧ろそうでありたいと思っている天海は私服が可愛らしく
仕事場の部屋などにも気を使っている
そんな彼女は徹夜明けにマンション近くのコンビニに行くだけでも着替えたようだ
福田が天海を見て流石っと思う反面
たかだかコンビニに行くのにそこまでしなくても良いのではないか
彼でも退いてしまった天海の執念

内心拍手をしながら福田はいつぞやの徹夜明けを思いだし
天海の買い物を手伝い
無事にマンションの部屋まで送ることにした



「福田さんっまた会いましたね」
「おっ天海」


数日後
再びコンビニで鉢合わせた2人

この前とは別人の天海が笑顔で福田に声をかけると
福田がこの前の事を覚えてしたのかと感心している間に話が全く違う方向に向かっていた


「福田さんっ金未来杯のエントリーは決まりましたか?」
「まだ」
「会議っていつです?」
「22日」
「じゃあそれまでコンビニとアシの仕事しかありませんよね」


いきなりどうしたんだ?
っと思いながらエントリーされるはずだからある程度原稿は進めるけどと呟いた福田
横の天海を見れば
その視線の先には新作映画やテーマパークの宣伝ポスター


「3日前とか・・休日で新妻くんの原稿も出し終わってますよね」
「・・・おぃまさか」
「19日にティスニー行きましょう!!」


視線の先にはティスニーリゾートの割引き宣伝ポスター
関東限定
6月末までパスポートが千円引きという財布に嬉しい言葉が福田と天海の目にとまる

まだ行くとは言っていない福田だが
既に横で同じようにポスターを見ている天海は楽しみです!っと
顔を見ずともそう書かれた顔をしているのがわかる福田は
小さく溜め息を吐いて
19日はティスニーという予定を脳内カレンダーに書き込んだ


「チケットこの機械で買えますよ福田さん!」
「おー そりゃ凄いなー」
「これで当日買う手間が省けますねっ」
「そーだなぁ」


浮かれる天海が大人2人分のパスポートを購入するのを横目で見ながら
金額の支払いだけ
自分の財布から万札を出して勝手に支払う福田
天海が何か言う前に
チケットはお前が持ってろと言ってコンビニを出てしまった福田に天海は寂しさを覚えた


「嫌だったのかな・・・」

「あーくそっ これじゃあまるで下手なラブコメじゃねーかよ」


コンビニの外に置いたバイクに股がり
愚痴りながらもバイト先のコンビニへシフトの変更を頼む電話をする福田
帽子に隠れた彼の耳が赤くなっていたのは誰も知らない
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