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□鈴蘭 帰国子女
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「天海航の弟がアメリカからこの鈴蘭に転校してくる」
まことしやかに囁かれた小さな噂は、いつの間にか街じゅうに広がっていた。
01.帰国子女
久々に日本に地を踏んだ。相変わらず湿気の多い国。
春真っ盛りの4月。
この春私は、男として兄の母校、鈴蘭高校に転校することになった。
なんでそんなことになったかって?
それは秘密。あえて言うなら、そうだなぁ・・面白そうだから。
もともと、背は低いほうじゃないし、
顔だってそんなに「女の子!」って感じでもないのだ。(どっちかってーと「中性的?」)
それから、胸はAカップという素晴らしいオプションつき。
声だって高くない。まぁ、敢えて低くしてるところはあるけど。
鈴蘭男子高等学校
そこは大層荒れた学校で、喧嘩なんて全くしたことはない私にとっては正に新境地。
だけど兄貴から護身術程度は教えられてはいるから何とかなるとは思う。
そこは、兄貴がかつてトップを務めていた学校
「女みてーな顔した番長」
って、大分なめられた解釈で随分と有名になったらしい。
それでも、喧嘩の腕は本物だったと本人からは聞いている。
その兄の、半端無い推薦と好奇心のお陰で、私の鈴蘭行きは助長されたのだ。
(…まぁ、面白そーだけど)