MENU

□鈴蘭 可愛い人。
1ページ/9ページ






「このあいさつを誇れ。」
兄貴に、そう言われたから。





04.可愛い人。






ちゅ、






店内に、消えそうなくらいに短い音が小さく響いた。

その場に居た芽生以外の男達は、唖然として立ち尽くすばかりで、自分の表情に責任すら持たない。


好誠は、訳が分からない、という風に、
既に芽生の唇が離された頬を手で押さえていた。


かなり、動揺していた。




(なんだ?)(何が起こった?)




徐々に、顔に熱が集まってくるのがよく分かる。



だが、そんな好誠を尻目に、柳・鉄生・将五の順にまた、
芽生は初対面にしては衝撃的すぎる挨拶をし始めた。


そう、相手を抱き締めて、頬に顔を寄せる、あの仕草。


その時の芽生の顔は、なんとも思ってない、これは形式的なモノ、そう物語っているようで、

好誠は、

(…こいつ、帰国子女かなんかか?)

と思ったりしてみた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ