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□思考停止
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海軍本部の廊下は長くて、書類を渡しに行くにも一苦労。
そんな長い廊下を歩いている間には、色々な人に会うわけで。
「よぉ」
大きな口をつり上げて、ニヤリと笑った真ピンクの長身猫背さんが、私の前に立ちはだかった。
通常サイズの私でも、すっごく見上げなければ顔が見えない。(猫背のおかげで少しはマシだけど)
「こんにちは、ドハデミンゴさん」
「どの口だァ?」
むぎゅっ、と頬が引っ張られて痛い。
ごめんなさい、と言えばパッと離された。あー痛かった。
頬をさすりながら、今度はちゃんとドフラミンゴさん、と言った。
「今日も海軍本部にご用ですか」
「フフフッ、暇つぶしだ」
「ずっと暇なんですね。いっつもパーティーに行くような格好なのに」
「パーティーか。俺と1曲どうだ?」
バサッ、と書類が床に落ちた。
書類を持っていた手はドフラミンゴさんに捕まれてて、ドフラミンゴさんのもう片方の手は腰に回されていた。
ちょー何するんですかー!
ぐいっ、と空いてる手で肩を押し返すが、距離はあくどころか、むしろ縮まってしまった。
というか縮まりすぎてて、ドフラミンゴさんの唇が私の唇に。
「っ、」
ドフラミンゴさんのいきなりの行動に、びっくりして目は見開いてて、目の前にいるドフラミンゴさんと目があった。
サングラス越しの目は、とてもかっこよくて、ドキリと胸が高鳴って、ちゅ、とわざとらしくリップ音がして唇は離された。
「な、な、に」
ドクドクといつもより速く脈打つ心臓に戸惑ってしまった。言葉が出てこない。
「初々しいなァ」
よいしょ、と拾われた書類。
あ、ありがとうございます、と受け取る時に手が触れてまたドキリと心臓が高鳴った。
「フフ。じゃあまたな」
ポンポン、と撫でられた頭が異様に熱くなった。
ああ、きっと顔も真っ赤なんだろうな。
こんな顔じゃあ、書類渡しにいけないな、とため息をつきながらも、心臓はバクバクと脈打っていた。
思考停止
09.10.13
ただドハデミンゴと言わせたかっただけという。