小説(短編)
□帝王と花嫁
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自分の体を抱き込むが、震えが止まらない。
――女の癖にアメフト――
何が悪いの?
――子供みたいな体
嫌だったの?我慢して、僕に触れていたの??
フワッと突然、後ろから抱き締められた。
瀬那は、泣きながら後ろを振り向いた。
「………た、猛くん…」
「!!」
「来るって言ってたのに、遅いから心配したよ。瀬那」
突然の大和の登場に露骨に狼狽する女性。
「あっ…」
瀬那をグッと自分の腕の中に抱き込むと大和は、目の前の女を鋭く睨み付ける。
「――誰が誰に誑かせられたって言うんだい?綾乃くん」
視線だけで、人を殺せそうな程に大和は怒りを露わにしていた。
「だって!本当の事じゃないっ!こんな子供みたいな女のどこが良いのよ!」
ヒステリックに叫び出す女に溜め息をつく大和。
「――俺が、瀬那を選んだんじゃない。瀬那が俺を選んでくれたんだ」
「瀬那に捨てられたら、俺は辛くて死ぬよ」