小説(短編)
□帝王と花嫁
5ページ/7ページ
「―――!!」
「大体、奪われるも何も俺が、瀬那と出逢った時には君とはとっくに別れていた筈なんだが」
「そ、それは」
「エリート意識の強い君の事だ、どうせ俺が日本リーグで活躍してるのを聞きつけて、隙あらば付け入ろうと瀬那に近づいた。違うか?」
「―――!…ッ!!」
女は、悔しそうに2人を睨むと、そのまま逃げる様にその場から去っていった。
――その場に、残された2人は……。
「瀬那…」
見上げると、辛そうに自分を見つめてくる大和の姿があった。
「すまない…。泣かせてしまったな」
「猛くん…。僕の方こそ、ごめんなさい」
「どうして、キミが謝るんだ?」
「だって、僕…一瞬だけど…あの人の言葉信じかけたから」
顔を大和の胸に擦り付けて謝る瀬那
大和は、無言で瀬那を抱きかかえて歩き出す。
「うわっ!た、猛くん!?」
「そうか、瀬那には俺の愛がまだ足りなかったんだね?」
「…へっ?」
「それじゃあ、今から嫌という程、教えてあげよう」
「ええぇぇっっ!?」
――大和は、瀬那を抱えたまま(所謂☆姫だっこ)
帰路へ着く。
(因みに、試合は練習試合だったため大和は、出場しない事になっていたらしい)