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   「医者に診てもらえって、」

   親が言う言葉じゃないよね。

   そう言って力なく笑うその小

   さな身体を俺はただ抱きしめ

   てやることしか出来なかった



   「ねぇ、しゅん」

   「…あ?」

   「私、頭可笑しいかな?」

   「…、」

   「なんか、なんかね」



   つかれた、




   小さくかすれた声だった。

   微かに震えるその身体が消え

   ていきそうで柄にもなく怖く

   なる。なんなんだろうな、こ

   の世界は。俺にとってなんの

   変哲もない毎日がおまえには

   どう見えてるかなんて解るは

   ずもなくて苛立ちだけがただ

   募っていく。



   たしかに、おまえは少しだけ

   可笑しいのかもしれない。で

   も、それはおまえが綺麗すぎ

   たから。汚れきったこの世界

   で生きていくには、おまえは

   綺麗すぎたから、だからだよ



   おまえは可笑しくなんてなん

   いんだ。可笑しいのはきっと

   この世界で、おまえは生まれ

   てくる世界を間違えた。ただ

   それだけのこと。


   この世界は生きづらいかもし

   れない。苦しいだろう。それ

   でも俺は、おまえに会えたこ

   とを嘘にしたくねぇよ。



   「…好きだ、」



   なぁ、俺の為に生きろよ。






   1227 Shun.I


   






              end




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