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  なあ、ルフィ。

  あの日の空をおまえ覚えてるか?

  夕日がすげぇ朱くてさ、オレンジ

  に染まった空を見ておまえは俺み

  たいだって言ったんだ。優しくて

  あったけーなあ。そう言って笑っ

  たんだぜ。おまえのことだから忘

  れてんだろうけどな。あの時は言

  わなかったけどさ、俺はそれがす

  げぇ嬉しかったよ。おまえが言う

  些細なことに俺がどれだけ救われ

  たか、知らねぇだろうな。俺が一

  度だっておまえにとってそんな存

  在であれたなら幸せだなと思う。

  兄貴瞑利に尽きるよ。




  なあ、ルフィ。

  あの時語りあった夢に俺達は少し

  でも近づけたのかな。この海はガ

  キの頃思ってたよりもずっと広く

  て、一体何処に向かってんのかも

  わからねぇままただ青い世界を進

  み続けて行く。大変なことだって

  ある。尋常じゃない傷を負うこと

  だって、もちろん死ぬことだって

  いつでも視野に入ってる。此処は

  そういう所だ。でもな、俺はよか

  ったと思うよ。海に出て誇りを掲

  げて、何処までも広がる海を見つ

  めてさ。たまに上を見れば馬鹿み

  たいに穏やかな空がそこに在って

  うめぇ飯食って…ああ、そうだ。

  おまえの手配書見る度にあのアホ

  面に笑ってよ。まぁ元気でやって

  んだななんて嬉しくなった。




  俺達が見る夢は簡単じゃないだろ

  うな。それでもガキの頃に語りあ

  った時となんにも変わっちゃいね

  ねぇだろ。高鳴る胸も前を見据え

  るこの目も全部未来を見ている。

  夢を、追い掛けてる。誰が馬鹿に

  しようがそれを俺は誇りに思うよ

  。そしてこの背中のマークと同じ

  くらいにおまえが弟であることが

  俺の自慢だ。生きろよ、ルフィ。

  誰よりも自由に生きて夢の果てを

  仲間と見に行け。おまえはいつだ

  って独りじゃねぇんだ。




  ただ、もう一度

  おまえとあの空を見たかったなあ





  世界はときどき美しい : ACE

               end






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