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エースさんが処刑されるらしい
毎朝届く新聞に目を通している
とそれは大きな字で書いてあっ
た。「白ひげ海賊団二番隊隊長
ポートガス・D・エース、マリ
ンフォードにて公開処刑決定」

エースさんは少し前に出会った
お客さんだった。小さな洋食屋
を営んでいる私はその人の胃の
大きさに大層驚いた。そして彼
はよく笑った。楽しそうに声を
あげて笑ったし、私が話をして
いる時は相槌をうちながら笑顔
で聞いてくれた。白ひげ海賊団
がこの島に滞在している間、彼
は何度もうちに足を運んでくれ
たし私の作ったオムライスをう
まいうまいと言って何皿も食べ
てくれた。

そのエースさんが処刑されるら
しい。彼は海賊だ。それもあの
有名な白ひげ海賊団の一員で有
り隊長だ。海軍に追われること
だって当たり前だし、捕まれば
どうなるかだってわかる。でも
、彼は優しい。あの海賊団の人
達はとても優しかった。街の人
に手を出すことなど一度もなか
ったのはもちろんたくさん笑顔
をくれた優しい海賊だ。なぜ、
なぜ殺されなければいけないの
か。軍は、政府はそんなにも偉
いのか。私にはわからなかった
しわかりたくもなかった。


エースさんを知らない人達は彼
が処刑されることを知って喜ん
でいるのだろうか。ヘドが出る
。そんな世界糞喰らえ。何も知
らないくせに、エースさんがど
んなに優しいか、どんなに笑顔
が似合う人か、仲間を家族を思
いやれる人か、知らないくせに
、苛々するむしゃくしゃする。
洗い終えたばかりのコップを思
いきり壁へと投げ付けた。バリ
ン!大きな音をたてて割れたガ
ラスの破片を見て涙が一粒零れ
る。腕の震えがとまらない。私
はこんなにも無力だ。









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