テニプリ×東京ミュウミュウ

□B跡部景吾という男
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ピンポーン。


玄関のチャイムが鳴ったので千代子はパタパタと玄関まで走って行って扉を開けた。
外に立っていたのはイケメンでした。


「邪魔するぜ」

『あ、ちょっと待って下さい』


千代子の制止も虚しく、イケメンもとい跡部景吾は廊下をズンズンと進んで行った。
相変わらず強引な跡部に、千代子は一度ふうと溜め息をつくとそっと玄関の扉を閉めた。

千代子がリビングまで戻るともう既に跡部はソファにどっかりと座り込み、寛ぎモードに入っていた。
首元のネクタイの結び目に手を差し込んで緩めている。

まるで我が家のように寛ぐ跡部に千代子は呆れてしまうが、それも仕方ないと割り切って跡部が脱いだであろう制服のジャケットを拾い上げてハンガーにかけた。
そして乱雑に置かれたスクール鞄から飛び出ていた書類を整えて中に入れ、鞄はいつもの定位置となっているソファの上に置かれた蝙蝠の人形の隣に置いた。

何だかんだこうやって世話を焼いてしまうのはこの跡部の強引な態度に慣れたのと、色々お世話になっている分頭が上がらないといったところだ。
千代子はソファで項垂れる跡部を見る。


『随分とお疲れですね』

「ああ、最近キメラアニマの出現率が高くなってきた。それに伴う被害も尋常じゃない」

『対応に追われているんですね』

「……ま、俺はあくまで裏方だからな。前線で戦うお前ほどじゃねえよ」



自嘲ぎみに跡部が笑う。
そして手に持っていた袋を差し出した。


「ほらよ」


反射的に千代子はその袋を受け取る。


『わ、新鮮なお野菜。あ、サクランボも入ってる!これは今日のデザートかな。……というか何だか量が多くありませんか?』


袋の中にはたくさんの野菜や果物、調味料やまた飴やガムなどのお菓子まで入っている。


「あーん?俺様も食べるからそれくらい普通の量だろ」

『ちゃっかり家で食べて行く気ですね』

「ケチケチすんなよ。せっかく食材をここまで持って来たんだからな」

『跡部さんがわざわざ持って来なくても私が取りに行きますよ?』

「そう言うな。俺が持って来たかったから持って来ただけだ」



週に何度かの跡部からの差し入れ。 
跡部直々に持って来るのは稀だが、普段は跡部家のメイドや執事が持ってきてくれる。
これもここに引っ越してきてからというもの恒例となっている事だ。



跡部家ではミュウミュウプロジェクトのサポートを担っている。
敵と生身で戦う千代子を全力でサポートする、それが跡部に課せられたものだ。
特に千代子と景吾は歳が近い事もあって、心身ともにサポートし易いという事で跡部家でも景吾が主にプロジェクトを引き受けていた。
それに、元々ミュウミュウプロジェクトを立ち上げた者もこれまた若く、景吾とも繋がりがあって便宜を図りやすかった。
千代子が氷帝に通っているのも、跡部とコンタクトが取りやすいという事があるからだ。





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