テニプリ×東京ミュウミュウ

□G東京ミュウミュウ
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藤原ざくろ。

身長172センチ、体重56キログラム、9月6日生まれのA型。
クールビューティーな容姿と抜群のプロポーションを併せ持ったカリスマモデル。
英語を含む6カ国語を話す事が出来るらしい。

『6人目の仲間、か』

先ほどいちごから電話がかかってきて聞いた話だ。
そしていちご達はざくろを仲間に引き入れるため、彼女主演の映画のオーディションを受けに行くとも言っていた。


「行かせないからな」

『……ケチ』

跡部の言葉にムッとして返せば、呆れたような溜め息が返ってくる。

「昨日学校で倒れた奴が何言ってやがる」


千代子はムッとしたままコホ、と咳をした。
昨日からどうも体調が悪いと思いつつ、それでも学校へ行ったら倒れてしまった。
どうやら無理をしていたのが祟ったらしい。
咳は出るわ、鼻水が止まらない。
体はだるいし高熱は出るで、昨日は跡部に無理やり学校から家へと送還された。
翌日になっても熱は続き、現在は37度で少しは落ち着いている。
そして今日、跡部が見舞いにやって来たのだった。


「ほら、千代子の好きなトマトゼリー買ってきてやったから、これ食って大人しく寝とけ」

千代子はちゃっかり跡部からゼリーを受け取り食べるが、表情は不貞腐れていた。

「6人目の仲間が現れていてもたってもいられない気持ちは分かる。だが、今の状態のお前が行っても足手まといになるだけだ」

『……』

「この件に関しては桃宮や白金たちがどうにかしてくれるだろ。あいつらを信じてやれ」

『はい…』


そう言われてしまえば頷くしかない。千代子はシュンと落ち込む。


「今は一刻も早く風を治す事だ。だから寝てろ」

『はい』


千代子はベッドの上に横になると目を瞑る。
そして暫くするとスウと寝息が聞こえ始めた。
安心しきっているその表情に、跡部はじゃっかん複雑な心境になる。
跡部は暫くその寝顔を見つめる。
そして寝ている千代子に小声で囁いた。



「頼むから、あまり心配かけさしてくれるなよ」


それだけ言うと千代子を起こさないように、千代子の眠るベッドの傍らに放置されていた雑誌を取り上げる。
その雑誌の表紙にはでかでかとゴシック体で“藤原ざくろ特集”と書かれており、美麗でスタイルのいい少女が微笑んでいた。


「仲間、か」


実は跡部もここに来る前に白金から連絡を受け取っていた。
藤原ざくろの仲間の引き入れは難航していると。
おそらく千代子はそこまでは知らない。
知ったら今すぐにでも、こんな状態でも仲間の元へ駆けつけるだろう。
ミュウミュウ全員が揃う為にはその方が望ましいのは間違いない。
でも、跡部はそうしなかった。


エゴ、なのかもしれない。

それでも…

…それでも望まずにはいられなかった。

…コイツを、千代子を危険な目に合わせたくない。



跡部は千代子の家を出ると携帯を広げて、白金へと繋げた。


「もしもし、白金か」

「ああ、景吾か。どうした?」

「藤原ざくろの件はどうなっている?」

「ああ、やはり一筋縄では行かなさそうだ。今いちご達は説得しに藤原ざくろの握手会に向かっているが……おそらく厳しいだろう」

「そうか、また何か進展があったら連絡をくれ」

「分かった」

ピッと携帯を切る。



……悪いな、白金。

それでも、やっぱり千代子が大切だった。




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