テニプリ×東京ミュウミュウ

□B跡部景吾という男
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夕食が出来あがると二人はテーブルにつく。
千代子が作ったカレーライスを食べながら跡部が口を開く。


「そういえば今日ミュウイチゴと接触したらしいな。白金から聞いた」


ちなみに、白金とはミュウプロジェクトを立ち上げた本人である。
白金家も中々の金持ちらしく、昔から跡部家との交流も深いらしい。
そこで白金は跡部にプロジェクトのサポートをお願いしたのだ。



『はい、猫耳と尻尾を生やした可愛い子でしたよ』

「猫か。千代子なんて蝙蝠だしな」

『う、人が気にしている事を……』

「ま、空が飛べていいじゃないか」

『いちごと同じ事言ってますね。……そうなんですけど、もうちょっと可愛い動物が良かったなって思っちゃいます』

「文句言うな。千代子と蝙蝠との相性は抜群だからな」



跡部の言葉に千代子はガクッと項垂れる。
そしてやけくそでカレーを口の中にかき込んだ。

そこでふと思い出したように手を止める。


『そういえば、いちごにカフェで働かないかって誘われたんでした』

「いいんじゃねえか?学校終わったら特にやる事もないだろ」

『はい。……あーあ、前に大阪にいた頃にはテニス部マネージャーをやっていたんですけどね』



テニス部、と言えば元チームメート達を思い出す。

『(元気にしてるかな)』

「そういえば何でこっちに来てからテニス部のマネージャーをやらなかったんだ?」

『戦いとかで忙しくなると思ったんです。それに大阪の時のテニス部の思い入れが強いから他の学校でというのも考えられませんでした。……あとは跡部さんファンクラブのお姉さん方が怖いからですね』

「前の学校は四天宝寺中だっけか?全国まで行けば当たる確率はあるな」

『はい、氷帝は全国行けそうですか?』

「当たり前だ」

『デスヨネー』

「……見に来いよ」

『行けたら行きます』



他愛ない話しをする時間は楽しい。
千代子が一人暮らしを始めてからというものもちろん家族はいないし、学校でも家に呼ぶくらいの友達もいない。
寝てばかりいる千代子は交友関係が浅かった。
ぶっちゃけ寂しいが、こうやってちょくちょく現れる跡部には本当助けられていた。








「カレー、美味しかったぜ」

夕飯も食べ終わり、そろそろ帰ろうと立ち上がった跡部に千代子はハンガーにかけてあった制服と鞄を手渡す。
それを受け取りながら跡部は笑う。


「また来る」

『はい!今度来る時はおみやげ欲しいです、プリンとかー……』

「ちゃっかりしてるな」

『ふっふっふ、それではまた。部活頑張ってください!』

「ああ、お前も死ぬんじゃねえぞ」

『はーい』



家を出て行く跡部を見送る。

誰もいなくなった家に戻ると随分広く感じられた。
寂しくないと言ったら嘘になるが、弱音を吐くわけにもいかない。





―――自分が世界の平和を守らなくては



ピピピ、と腕時計が鳴り始める。
その警戒音はキメラアニマが現れた事をしめす。
ふう、と一息ついて千代子は金のブローチに軽く口づけた。



『ミュウミュウチョコ、メタモルフォーゼ!』





さて、これから一仕事だ。






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