テニプリ×東京ミュウミュウ

□Cカフェミュウミュウ
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店員……千代子は内心慌てていた。
最初はこのカフェに氷帝生がいる事に。
(制服が氷帝だから分かった)

このカフェは氷帝からもなかなか近い距離にあって来やすい位置ではある。
しかし庶民の味方、値段がリーズナブルなため氷帝の御曹司、お嬢様方はあまり来ないので千代子も安心していた。
それでもやはりスイーツは普通に美味しいので氷帝生もそこそこ来るのだが、でも知り合いでなかったため千代子だと認識される事はなかった。
もし知り合いにこの姿を見られてしまったら恥ずかしい。

いや、衣装は普通に可愛いと思うのだが何分フリルも多くて可愛らしすぎて自分には似合ってない気がするのだ。




そしてもう一つ驚いたのがその氷帝生が、かの人気なテニス部レギュラー陣であった事だ。
氷帝に通っていて彼らを知らない者はいない。
それに、よく跡部からテニス部の事は聞いていたのもある。



『(あ、でも私は彼らをよく知ってるけど、彼らが私の事を知るわけがないか)』



そう思い直して、気を取り直すと近づいてゆく。



『メニューはお決まりですか?』

「んーと、俺達今日ここに来るの初めてなんだけどお勧めとかある?」

『今ですと、このベリータルトが当店人気ナンバーワンとなっております』



千代子はジローの持っていたメニューのトップに貼ってある写真を示した。




「ふーん、じゃあ君はどのスイーツが好き?」

『え?』




まさか自分にそんな事を聞いてくるとは思わなかった千代子は一瞬固まる。
そして恐る恐る口を開いた。



『えっと……このガトーショコラが好きです』

「じゃあ俺それで!」

『え』


再び千代子は固まる。



『よろしいのですか?』

「うん!」



ニコニコと無邪気そうに笑いかけてくるジローを見て気を取り直すと伝票に書き込んでゆく。
そしてポカンと口を開けている忍足と向日の方へ向いた。



『あとのお二方はどうなされますか?』

「えっと、じゃあ俺もガトーショコラで」

「俺はイチゴショートにするわ」

『かしこまりました』



忍足、向日の順で聞いたメニューをまた伝票に書き加えて行く。
そして千代子は一度頭を下げると店の奥へと戻って行った。
ニコニコと笑っているジローを向日が怪訝そうに見る。



「何でそんなに嬉しそうなんだ?」

「あの子可愛いなーって」

「まさかジロー、惚れたん?」

「んー……そんなんじゃないけど。あの子氷帝生だよ」

「え、氷帝生!?見た事ないけど」

「たしかあの子二年生だったから俺達とは滅多に会わないんじゃないかな?」

「成る程なァ、でも何でジローは知ってたん?」

「あの子は俺と同じなんだ」

「は?」



同じ、とは何なのか。

見た限りでは共通点はなさそうだが。
そう忍足が考えている事が分かったのか、ジローがフワフワと笑いながら言う。



「寝る事が大好きなんだー。俺がよく保健室のベッドで寝てるとよく他のベッドで寝てるよ」

「おいおい」

「まさかジローと同じ人種がいたとはな」




その後千代子が三人に言われた品を運んで来た際に、忍足と向日にかなりガン見されたとかそうでなかったとか。




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