テニプリ×東京ミュウミュウ

□Fお見舞いに行こう
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ケーキを食べ終えて、千代子が淹れたお茶が入ったティーカップを持っていた幸村は、手にしていたカップをソーサーの上に置いた。
そしてカップの置かれたソーサーを机の上に置くと、切なげに外を眺めた。


「最近は物騒だね」

『?』

「ほら、最近ニュースで化け物に襲われただとか謎の生物が現れたとかよく聞くから。この病院にも被害者が運ばれてきているみたいなんだ」

『そうですね。最近アイツ等めっきり現れるものだからこっちも対応が大変で……』

「え?」

『(やば!)ッえ、えっと、化け物騒動で外出を控えるお客様が増えてバイト先の売り上げにも影響が出てしまってですね(ついミュウミュウの事ポロッと言っちゃいそうだったよ、危ない危ない)』

「成る程、困ったものだよね」

『まったくですよ』


幸村の言うように最近では頻繁にキメラアニマが街で暴れ回っていた。
今のところ死者はいないが、キメラアニマは全部自分たちが片付けているので迷惑極まりない。
カフェミュウミュウの客が減っているのも本当の事で、幸村の言うとおり被害者も少なくはない。
街のあちこちでは破壊された建物の修理に追われている。
それら全部含めて被害は甚大だ。

千代子の身近な被害としても、睡眠時間が削られているところだろう。
おかげで相変わらず学校では寝てばかりだ。


『(本当、嫌になっちゃう)』


一人黄昏れていると、じっと幸村が自分を見ている事に気づいた千代子は顔を上げた。


合わさる視線。


「どうやらその化け物を倒している人たちがいるっていう噂を聞いたよ。名はたしか……」



ミュウミュウ。



そう言った幸村に、千代子は目を見開く。
暫くの沈黙の後、幸村は苦笑しながら言った。


「世間一般には公開されていないみたいだけど、俺の知り合いにデータ集めが趣味の奴がいてね。どうやらその人達のおかげで被害は最低限に抑えられているみたいなんだ」

『そ、そうなんですか』


ミュウミュウについては助けられた人々の伝で世間に広まっていた。
でも真偽の程は定かではなく、公にも公表されていない。
幸村が知っていてもおかしくないのだが、いざこうやって直接第三者からミュウミュウの事を言われると思っていなかった千代子は戸惑った。


「何でも戦っているのは全員女の子だとか。それも年端もいかない。……そんな子たちに戦わさせなければならないなんて、何だか情けないな」

『……』

「俺は……」

『幸村さん?』

「いや、やっぱり何でもない」



それきり言葉を切ってしまった幸村に、千代子は首を傾げた。
しかし、どことなく幸村はこれ以上追究してほしくないというオーラを醸し出しているのを何となく察して千代子も口を閉ざした。
今、幸村さんは何て言おうとしたのだろう……
すごく気になったが、どうやら幸村は言うつもりはないようだ。
それをあえて追究するほど千代子は空気が読めないわけではない。




しかし……

『(ちょっと寂しいかも)』

お互い何でもかんでも話し合える程親密ではない。
まだ出会って二日目なのだから当たり前とも言えるが。
千代子も幸村に話せないことは山ほどある。(主にミュウミュウの事とか)
同じく幸村にだて千代子に言ってない事が殆どだろう。


それでも……

『あの、幸村さん。ご迷惑でなければまたお見舞いに来てもいいですか?』


もっと知りたい。

「ああ、もちろんだよ。やっぱり話し相手が出来るのは俺も嬉しいし、今日は凄く楽しかった」


貴方の事が知りたい。

『私もです。幸村さんとたくさん話せて楽しかったです』






この感情に名前をつけると何となるのだろうか。






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