テニプリ×東京ミュウミュウ

□H嵐前の静けさ
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久しぶりに大阪に居る先輩の声を聞いてつい感傷に浸ってしまう。
懐かしい思い出が蘇ってくる。
自分は大阪にいた頃、テニス部のマネージャーをしていた。
全国を目指して練習に励む部員たちとともに、千代子もマネージャーとしての業務を日々こなしていた。
部員には様々な人がいてどの人も個性が強かった。
でもみんなとても千代子の事を可愛がってくれていた。


小石川副部長。
同じ地味同士だとか言って、最初なかなかテニス部に馴染めないでいた千代子を温かく迎え入れてくれた。よく相談にも乗ってくれたりした。第二のお母さんみたいな人。


銀さん。
失敗ばかりして落ち込んでいた時も慰めてくれた。多分、私のお祖父ちゃんと同じくらい甘やかしてくれた。何故か飴玉をよく貰った。


千歳さん。
気づけばありとあらゆる場所で寝てしまっていた私を探してくれた。テニス部の中では誰よりも一番早く自分を見つけてくれる。第二のお父さんみたいな人。



小春さん、一氏さん。
あの二人といれば常に笑いが絶えなかった。落ち込んだり、悩んだりした時にあの二人と居ればいつの間にかどこかへ吹っ飛んでしまっていた。



財前。
レギュラーの中で唯一の同級生。その事もあってかよく一緒にいる事が多かった。よく二人で勉強を教えあったり、カラオケに行ったりした。最高の友達だ。



金ちゃん。
自分にすごく懐いてくれていた。よく一緒になって白石部長に怒られたりしたけど、それも今となってはいい思い出だ。こんな弟がほしいって何時も思ってた。



謙也さん。
唯一ミュウチョコを知っていると自分自身で自覚していたせいか、よく千代子の事を気にかけてくれていた。心配ばかりかけて申し訳なかったと思う。こうやって離れてからも自分の事を心配してくれていると分かって胸がジン、としてしまう。



……そして白石部長。
時には褒めて、時には厳しく、時には優しく。自分にとって憧れの人であり、ぶっちゃけると初恋の人だ。今でも尊敬の気持ちは変わらない。



みんなみんな素晴らしい人たちばかりだ。謙也以外の部員からもメールや電話がちょくちょく来ていて、時々ものすごく大阪に戻りたくなる。
今でもその気持ちは変わらないけど、でも案外此方の生活も楽しいのではないかと最近思い始めた。
携帯をゆっくり閉じると、廊下の壁から歩鈴がひょっこりと此方へ顔を覗かせていた。



「千代子のお姉ちゃん!お客様が来たからそろそろ休憩も終わりなのだ」

『はーい』



千代子は駆け出す。

その顔は晴れやかだった。




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