白闇の書(長編)

□白哀華 第四章
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銀時、桂、高杉、坂本。







漸く仲を取り戻した4人には、始めに高杉と坂本を呼び出した時とは違う、

穏やかな雰囲気へと変わっていた。

随分遠回りをした分、またこうして4人で笑い合う事が出来たというのは、とても嬉しいものだった。


しかし、いつまでもそうしているわけにもいかない。


銀時は今真選組に正体がバレて、万事屋を飛び出してきた。

4人はこれからどうするのかを決めていかなければならなかった。










「それで、今後の事だが・・・。」

「・・・ああ。じゃあ取り合えず俺から言う。」


高杉が煙管を懐にしまった。



「幕府側の御察しの通りだ。俺は近々大規模なテロを起こすつもりだ。だから小せぇ騒ぎは起こしてねぇ。」

「それは…勘付かれる位で丁度良いという事か、高杉?」

「…ククッ、そういう事だ。」


あちらさんにも覚悟してもらわねぇとと思ってな、と高杉はつけ加えた。


桂、坂本、銀時も、特に驚く様子も無く、真剣に高杉の話を聞いていた。






「それで、具体的に何をするんじゃ?」


坂本が問う。




「・・・簡単な話、天人を召還しているあの忌まわしい塔の完全殲滅だ。」

「!」

「ターミナルか。」

「ああ。」



「そして、その最上階にいるといわれている戌夷族の頭を倒す。」




「戌夷族の頭?・・・・何故。」


桂が尋ねる。


高杉は銀時の方を一目見ると、下を向いた。




「・・・・・・奴だ。」



「・・・・・・は?」













「先生を処刑するよう謀った張本人だ。」













「・・・・・・!!!」



3人の目が見開かれる。


「ど、どういう事だ・・・・・。」


「・・・・そのまんまの意味だよ。・・・・・奴は、逃げ腰幕府を平伏させて乗っ取ろうとした。だが、松陽先生はそれを阻止しようとしていた。」



高杉は説明をする。


吉田松陽は奴にとって唯一邪魔な存在だった。

松陽が幕府内でも信頼を置かれていた事も気にくわなかったらしい。


だから。



だから奴は、濡れ衣を松陽に着せ、無実の松陽を理不尽に処刑した。


結果松陽は大罪人として名を残され、やがて幕府を乗っ取った奴自身は、天人共の中では半ば英雄気取り。

今もお気に入りの江戸の地の最も高い場所、ターミナルの最上階にいると言われている。





「・・・俺は奴が許せねぇ。さすがにそこまでした奴だ。これだけの情報を得るのにも随分苦労した。

      だが、これだけ情報があればもう十分だ。俺は奴に復讐する。」





高杉は固く拳を握っていた。

話を聞いていた3人の手が震える。


「そんな・・・・奴が、まだのうのうと生きているのか・・・。」


思い出されるのは、


思い出したくも無い、あの人の最期。


忘れたい、でも決して忘れた事など無かった、あの日の事。






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