捧げ物

□戯れ初夜
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それは好奇心だったのかもしれない。



ふたりきりの薄暗い部屋。銀に目をやれば、何も映っていないだろう瞳に光が宿っているような錯覚。ただの人間だった頃はこんな瞳をしていたのだろうかと、頭を巡らす。その一方で、月明かりに照らされたその姿がひどく美しいと思い、気付けば手を伸ばしてしまっていた。



そっと銀髪を撫でる。柔らかな髪が指先を導くようにサラサラと揺らめいて、それを何度か繰り返し、白く艶めかしい首筋に触れた。

銀はとくに動じることはなかった。それが触れていることに対する同意ではないことは、分かっている。けれど触れている手は相変わらず彼女の首筋。




キスをすればどうなるだろう。
何度か啄んで舌を絡めたらどんな感触だろう。
白い柔肌に噛み付いて舐めあげれば、彼女は呼吸を乱すだろうか。それとも…




厭らしい欲だと思う。だけどすでに頭はそれでいっぱい。俗に言う性行為を受け止められるのかと、心配になるくらい彼女の体は小さく、簡単に壊れてしまうんじゃないかと一瞬我に返る。しかし…






いっそのこと壊してしまおうか





あっけなく切れた糸は自制心を奪う。ドサリと音を立て、彼女を組み敷けば、誰にも止められない夜のはじまり…―






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