資料室

□溢れし憂い
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―…数時間後。



日は暮れ夜になった。


…彰はあの後、自分でも何をして過ごしていたのかあまり覚えていなかった。


気づけば夕食と入浴を済ませ、真太郎と共にベッドの上にいた。




「…彰?」



「…っあ?」


「どうしたんですか?
さっきからボーッとして…」


「………」




あの電話のこと…聞きたい。


もしあの電話での真太郎の言葉がホンマやとしたら…真太郎は浮気しとることになる。


そして俺がその真実を突いたとしたら…俺らの関係は終わる。




――…それだけは嫌や…。




「…彰」


真太郎に呼ばれた。


「何…? っん…?」


顔を上げるのと同時に突然彰の元に降ってきた真太郎の唇。


触れるか触れないかの、小さなキス。


唇が離れると、お互いに熱い吐息を漏らした。


「…僕だけを…見てくださいよ」


真太郎が寂し気な顔で彰を見る。


「真太郎…」




…さっきのは俺の聞き違いやったんかもな。


だって現に今真太郎は俺のことを求めてくれとる。




「ゴメン…真太郎。
もう大丈夫やからな…」


彰の言葉に真太郎が首を横に振る。


「…んっ…」


今度は彰から優しくキスをする。


徐々に舌を入れ、真太郎の口内を犯す。


「んっ…ふ」


真太郎の口端からいやらしく涎が垂れる。


「真太郎…好きやよ…」


「…僕も…」


彰の手が真太郎の敏感な部分に触れていく。


「あっ…」


「…真太郎…」










そしてこの夜、2人は初めてお互いの体を繋げた。










「おやすみなさい」


「…ん。 おやすみ…」



真太郎が静かに眠りに堕ちるのを彰が横で見守る。


彰は行為でボサボサになった真太郎の髪を優しく撫でた。




しばらく真太郎を見つめ、彰も眠りにつこうとした時…




「…大好き…」




真太郎が小さく呟いた。


寝言か…かわえぇな真太郎…。















「大好きです………信人くん……」















また、心臓が大きく波打った。







「真太郎お前…信人くんと…」













浮気…しとるんか…?













…その日彰はいつまで経っても眠ることができなかった。
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